2007年8月7日火曜日

第4回『年誌』関西シンポ資料 八木さんのレジュメ

現代革命とブントの諸論争~第4回『年誌』関西シンポジウム

6月24日・八木健彦

 <はじめに>

 60年代後半~70年代初頭における世界的闘い、そしてその世界性の共有を追求した日本の闘い、それは国際共産主義運動の中でどのような歴史的位置を有し、どのような壁に挑戦し続けたものだったのだろうか。そしてまたどのような限界につきまとわれながら、どう敗北したものだったのだろうか。

 それはいわば、1920-21年にレーニンとロシア共産党・コミンテルンが突き当たっていた壁を引きずりながら、新たな歴史的位相と条件の下でそれを乗り越えるべく挑戦しながらも、あまりの主体的未熟さの故に砕け散ったと言えよう。(ただ、一旦切り開かれた闘いはその後様々に広がっていったのではあるが・・・。)

Ⅰ、60年代後半~70年代初頭の闘いの歴史的特質

 冷戦構造と戦後帝国主義=フォーディズムの成熟平準化=高度成長と再分割戦 

 米帝の軍事的経済的基軸国化と侵略反革命同盟(安保・NATO)、IMFドル体制生産過程のフォードシステム化(労働過程での知識と管理の資本への集中、自動機械、科学の資本の力への転化、構想と実行の分離の巨大化、技術・管理の巨大化と階層性・差別・細分化etc)と、それを土台として労働者の消費様式を変革し積極的に蓄積体制に組み込んだ、耐久消費財の大量生産―大量消費の成長体制、これらの基礎ともなり結果でもあった社会契約的な労資協調体制(その直接の中心は「テーラー主義の受容」対「生産性インデックス賃金」の取引)[註1]、そしてそれを包み他階層へ波及リンクさせていくケインズ政策と管理的福祉国家、そういう全体を“フォーディズム”と呼ぶ。 

 従ってフォーディズムは戦後革命の挫折の上に、労働運動・旧左翼を社会契約的な労資協調へと引き込み、組織化し、大量生産―大量消費を生活文化様式にまで及んで社会全体の規定力としていくブルジョアヘゲモニーでもあった。[註2]

 そしてその下での国家は、同じ基盤に立つ者にはコーポラティズムとして、その外にある者には暴力的抑圧と差別的統合を、民主主義の外皮で掩い包んでいた。

 実際、この下で官僚的警察的抑圧機構は強化・肥大し続けた。

 スターリン主義的「国家社会主義」(一党・一分派による政治・イデオロギーの独占を基礎とした、官僚による労働と生産の指揮命令型集産主義経済)の、軍事的=警察的抑圧体制と帝国主義との生産力―福祉競争

 第三世界では、植民地独立にもかかわらず、大土地所有、買弁・流通資本支配、外国資本の原料・工業支配は相変わらず。「新植民地主義」とか「低開発の開発」(新従属理論と言われたもの。[註3]

 不均等発展と再分割戦の進行は“ドル危機”として端的に表現。

 侵略反革命とフォーディズム、管理的福祉国家秩序と第三世界の抑圧収奪は表裏一体のものとして。

 フォーディズムは第一次大戦~ロシア革命以降、大戦間の試行を経ながら資本主義が行き着いた一つの画期であり、グラムシも注目していたものであった。

 [註1]“社会契約的な”労資協調体制は先行する階級闘争の諸結果であり、ニューディール連合や人民戦線~祖国戦線や戦後革命の挫折としての戦後民主主義体制、及びソ連圏「国家社会主義」との対抗を基盤として、また直接には従来の労働過程の相対的自立性と労働者相互扶助に基づいた労働社会とそれを基盤として組織化した戦闘的労働運動の徹底的弾圧の上に、巨大労組―改良主義「労働者」政党による利害代表という構造で体現された。「テーラー主義の受容」と「生産性インデックス賃金」の取引は、こういう構造の中にビルトインされたものであった。

 第2次ブンドの「階級的労働運動」は、このような“社会契約”の構造(内容的にも政治組織構造としても)そのものと対抗する運動を築いていくことを主軸として、それに諸々の個別的な闘いを結びつけていくべきこと、(とくに官公労や中小の地域労働運動を結びつけていく)そうでない限り階級的運動たりえないことを主張したのだと言える。(「反帝統一戦線と階級的労働運動」)

 [註2]フォーディズムを基盤として成長した多国籍企業が、フォーディズムの行き詰まり(70年代のスタグフレーションやエネルギー危機で顕著に)に対して新自由主義でもってその支配を拡張し、グローバリゼーションとして世界を席巻しつつ、一面ではフォーディズムを堀り崩し、社会的危機と階級闘争の新たな条件を招来させていることは、第3回のシンポで触れられている。

 [註3]60年代末以降、第三世界の一部で、「開発独裁」と外国資本支配下での従属的工業化(輸出工業)が進行し、(それは多国籍企業化と相即的)、そしてNICS等が台頭したこと、そして今日では多国籍資本の支配=グローバリズムと反グローバリズムのせめぎあいをつくりだしていること、そうして民族解放闘争の新たな時代が始まっていること、これも前回で触れられている。

 ,世界プロレタリア革命の一環としての反帝・反封建・反買弁の民族解放(中国・キューバ・ベトナム)= 民族解放闘争の世界革命の最前線化

 最晩年のレーニンの予見。

 スターリン主義との相克

 冷戦構造を揺り動かし世界革命の最前線を形成したベトナム革命戦争

 OLAS―ゲバラ・カストロ路線

 ,中国「プロ文革」とユーゴ「自主管理社会主義」

 中国「プロ文革」は諸々の問題を曝しながらも(「階級闘争」が一分派による政治・イデオロギーの独占に帰結とか、過渡期の諸方策を“資本主義的”とする否定だとか、農民的水平主義的共産主義だとか・・・)、管理の問題、分業止揚の問題を公然と課題に掲げた。

 ヨーロッパの共産主義運動に大きな影響を与えたユーゴの「自主管理社会主義」

 チェコ“プラハの春”・・・・(「管理」の問題が公然と大問題になったのは、1920年前後の「労働組合」論争からネップへの移行における、レーニン・トロツキー・労働者反対派等の論争以来である。)

 ,帝国主義国では・・・・

 アメリカでは「ニューディ-ル連合」を左へ突き破っていく闘い~ベトナム反戦闘争と黒人解放闘争の合流、SDS、対抗文化(ウッドストック)

 フランスーカルチェラタンと「五月革命」、イタリアー続発する工場占拠

 ドイツ学生闘争―SDS。「権威主義的コーポラティズムを内実とする民主主義」批判

 以上の俯瞰から見えてくる60年代後半~七〇年代初頭の闘いは帝国主義の侵略反革命に対決しつつ、フォーディズムへの対抗、それの根本的な拒絶・転倒 ということに集約できる。

 国際的な学生叛乱も、帝国主義の侵略反革命との対決と前記の「科学や知識の資本への集中とその抑圧力への転化」、「技術・管理の巨大化と階層性・差別・細分化」への編成、労働力再生産機構=管理的福祉国家秩序との対抗的関係にあったと言える。

 だからフォーディズムとの対抗は、諸々の個別的な現実的契機をめぐっての闘いと同時に、社会主義をめぐる「労働者自身による自主的意識的な労働と生活の管理・運営」「工業と農業、労働者と農民の関係」「市場や割り当て経済に代わる道」

 「第三世界との関係の変革」etcといった問題を内包している。

 “民主主義と暴力”を巡る問題は、フォーディズム下の国家との対決にあって本質的問題であったが、それは侵略反革命との対決―世界革命の貫徹という国際主義とフォーディズムへの対抗、その拡大・深化に裏打ちされてこそ意義あるものであった。すなわち、暴力とヘゲモニーの問題。ヘゲモニーに基礎づけられヘゲモニーを貫徹するものとしての暴力。労働者人民の自己権力としての暴力。・・・

 全人民的政治闘争~平時からのソヴェト運動という構図は、国際主義と権力問題~フォーディズムに取って代わる社会革命の諸課題という射程でこそ、より十全な意義を持ち得たのでは・・・

 ,第2次ブンド6回大会~7回大会

 マル戦派の主導でのブンド再建統一=6回大会

 岩田世界資本主義論;基軸国の国際収支危機による多角的決済機構の崩壊と基軸国の動揺による世界資本主義の危機と合理化攻撃&水沢階級形成(労働過程)論;労働者は商品売買関係では自由・平等の関係だが生産過程では支配強制の関係であり、生活・権利の要求もこの強制・支配関係に直面する。

 「生活と権利の実力防衛を反帝闘争へ!反帝闘争をプロレタリア日本革命へ!」

 「日本革命をアジア革命の勝利と世界革命の突破口とせよ!」

 7回大会=関西ブンド系の主導権確立とマル戦派との分裂

 過渡期世界論と帝国主義の不均等発展~再分割戦

 3ブロック階級闘争の結合=世界同時革命

 帝国主義の侵略反革命と帝国主義的社会再編粉砕!

 <国際主義と組織された暴力>

 6回大会の路線が経済主義的で一国主義的なのはいうまでもないが、それにとって変わった7回大会路線は、国際階級闘争をトータルに対象化して獲得すべき同質性を提示しょうとした点では画期的であったが、労働過程論(絶対的とくに相対的剰余価値の生産)や労働力再生産過程を帝国主義論の中に位置づけられなという重大な欠陥を内包していた。

 それゆえ、プロレタリアートの現実への批判に基礎を置くのではなく、抽象的な観念化された主体をに基礎を求める傾向を生み出した。

  闘いの深化とともに必然的となった綱領問題にあっても、資本主義批判・帝国主義批判~共産主義論を貫く赤い糸=労働過程論・絶対的相対的剰余価値生産・賃労働制の全面的批判という土台を欠いて、イデオロギー的分岐とすれ違いを促進した。

 全人民的政治闘争~平時からのソヴェト運動という構図は、国際主義と権力問題~フォーディズムに取って代わる社会革命の諸課題という射程でこそ、より十全な意義を持ち得たのでは・・・

 統一(連合)と分裂をめぐる党組織論の問題については別途。

 Ⅱ 戦術における「左翼主義」の止揚と戦略的組織―活動

 60年代末に、国際階級闘争は帝国主義諸国の革命の問題を提出した。そして帝国主義諸国での端緒的な大衆的武装闘争の波はその足踏みとともに革命の問題を提起した。

 だが、「革命の問題を提起」ということは今すぐ革命が可能ということではなく、革命を観念の中での構想ということから現実の問題として捉えること、従って、日々の活動と組織が革命を準備するものとして、意識的に系統付けられたものとならねばならないことを提示していた。

  現実の階級闘争の最前線で闘いながらその中に意識性と組織性を持ち込み、革命を準備する戦略的な活動―組織に結びつけていくということは、従来の戦術における左翼主義=「革命的敗北主義」と称された自然成長論的な考え方の克服を不可欠とするものであった。

 ブンド8回大会は、こういう転回点において、「革命家の組織」や「軍事組織」や「綱領問題」や「階級基盤の強化」や等々、諸々の問題を提起したが、それらのことが分化しつつある諸傾向間の党内論争の組織化と結びつくことなく、意味あるものとはなりえなかった。

 8回大会の主題は、決定的に重要なものとしての「組織建設」ということの提起であったが・・・・。

 レーニン主義の道とは?

 Ⅲ 党組織論

 6回大会→7回大会におけるマル戦派との分裂と、その反省的総括の回避はその後自身に跳ね返ってくるものとなった。

 第2次ブンドもスターリン主義党組織観=「民主集中性」や「一枚岩党」をひきずっており(コミンテルン5回大会のボルシャヴィキ化で確立)、事実上の連合性や分派性は無視され、その止揚や論争の方法論自体が存在しなかった

 転変する階級闘争内にあって、党内に様々な傾向が生じ、様々なグループが生まれ、分派という形をとりもすることは、当たり前のことである。レーニンの党組織論にあってもそれは前提である。その中で党内論争を組織し、その党内論争によって全体を統一する主流派へと形成すべく努力していくのであり、そういうことの経験と訓練の蓄積が重要なのである。

 21年の分派禁止は最大の危機の瞬間における臨時的非常措置であったが、それは常態化していきスターリン派の党支配の起点となった。(「なにをなすべきか」における「社会主義のイデオロギー」と「自然発生性の目的意識性への転化」「諸階級層の相互関係と全面的政治暴露」の相互関係)

 vsスターリン主義の党観&革共同・黒田の党観&

 とはいえ、一つの党としては社会主義のイデオロギーや綱領なり、戦略戦術や、運動の対権力・資本関係なり、大衆的階級的結合・基盤なり、組織建設の蓄積なりの一定の水準と共有は前提される。こういう力量・蓄積の弱さということもあった。

 とりわけイデオロギー的な脆弱性と組織建設における脆弱性。

 組織建設の脆弱性がマル戦派との分裂へと駆り立てる?

 総じて連合する能力、連合の中で論争を組織しながらその止揚・主流派ヘゲモニーの形成していく能力の弱さ。

 Ⅳ ブンドの根本思想をめぐる問題

 ,第1次ブンドの分裂と第2次ブンド

  1次ブンドが戦旗派・プロ通派・革通派に3分解し、戦旗派=世界観と労働者党

 プロ通派=実践論・戦略―運動論、革通派=危機論(帝国主義論)―戦略論

 戦旗派は革共同へ移行し、よって第2次ブンドはプロ通派と革通派の合同―相互止揚という方向で形成された。

 それ故、「立脚点」的なイデオロギーをめぐる論争は予め視野の外に。(もしくは個人の領域)

 そういうイデオロギー的基盤の脆弱性は、「武装」を契機に、現実の階級闘争がどこから、何故に、どこへ向かっているのかという前提・共通認識の欠如として顕在化し、プロレタリアートの闘う必然性と、闘う契機や個々の運動と、対抗的な社会変革路線とが不可分のものとして登場していることに対して応じきれないという問題を生起させた。

 2,それに答えようとしたものとして田原のプロ独・共産主義論があり、その(自己)批判的超克をも含んで、12/18ブンドの資本主義批判や黒田哲学批判があった。

 田原のプロ独・共産主義論については今は触れない。

 12/18ブンドの榎原資本主義批判と黒田哲学批判はその歴史的意義を認めた上で、今日的には批判的に越えられねばならない。

 榎原資本主義批判の問題点

 資本論第一巻の価値論的完結→特に相対的剰余価値の生産等労働過程論の無視、賃労働制の全面的な暴露=プロレタリアートの現実の全面的な暴露とそこでの旧社会の変革的諸契機と新社会の形成的諸要素の成熟ということを、資本主義批判からそぎ落としている。(マルクスがそこでそういうことを論じていることを知っているがあえて取り扱わないと述べている。それでどうして第1インター一般規約第一条の深遠な思想云々と言えるのか!)

 確かにそこからは帝国主義論も信用資本主義論となり、社会革命も物象化論から導くことにならざるをえない。

 黒田哲学批判における問題点

 初期マルクスの疎外論の克服=ドイデ・分業論と「社会関係の総体」→資本論へという把握

 初期の労働論・疎外論を克服された急進民主主義的傾向としてではなく、資本論との関係の中に捉え返すべきでは?

2007年7月2日月曜日

第4回『年誌』関西シンポジウム報告

 6月×日、第4回『年誌』関西シンポが開催された。数十名の参加で、活発な議論が行われた。反グローバル運動を担い、ドイツ・ハイリゲンダムサミット反対闘争に参加した若手活動家の報告や元マル戦怒濤派の成島忠夫氏の9条ネットからの参議院選立候補についての要請や『年誌』メンバーからの『年誌』政治潮流化の提案もあり、「9条改憲阻止の会」を中心とする6・15反戦・反安保・9条改憲阻止日比谷野音集会が4桁の結集で成功したり、若者を中心にしたフリーター・派遣労働者などの労働運動が盛り上がってきたりと、政治社会運動が高揚しつつある中で、共産主義運動に、より実践性を意識した議論が必要となっていることが示されていると思う。
 以下、岩田氏の報告を多少加工したものを掲載する。こうした議論への注目・参加をお願いしたい。
    
 「第4回『年誌』関西シンポの総括と今後の展望について(案)」から      
 「討議」部分は、一応テープと照合し「意訳」的に列記しています。
 7月1日・岩田吾郎

 報告と討議について

 G8サミット反対闘争(A・B)と『年誌』報告(C)は、一方で、ヨーロッパに於ける反グローバル運動の持続性(10万人、多国籍性、下層・若者)と「信条」としての「共産主義」等の復権(マルクス、ローザ、トロツキー、ゲバラ等)の状況、他方で首都圏での政治的大衆運動、非正規の若い労働者運動の再生に対して、『年誌』~ブント系「政治潮流化」の提案であった。一見、離れているようだが、報告を通して、世界的・日本国内的政治状況は、大衆運動、政治運動が同時的、同質的に再生、流動化している事が理解されたと思われる。特に、G8サミット反対闘争の報告と意見交換は、プロレタリア国際主義、共産主義の現在性について不可欠の課題を提起していた。
  最後に、10・21京都集会の提起(D)、成島忠夫さんの参議院選挙立候補(9条ネット)の提起(E)を受けた。「街頭」と「議会」、この幅を持って政治的大衆運動の再生は目指され、開始されている。賛否、又は意見の相違は別として、実際上の「現代革命」への接近、現実化は以上の「幅」を持って試みられようとしています。かつ、「共産主義者」の今日的任務も・・・。

 八木レジュメ報告~別紙

 F氏のコメント

 Ⓐヨーロッパの反グローバル運動・世界社会フォーラム等の評価~レーニン主義組織論の対極の運動・組織観が生まれているのでは無いか。我々は、マルクス・レーニン主義の復権としてスターリン主義批判であったが、連合赤軍の誤りのようにスターリン主義を再生産してしまった。新たな世界的な運動から学ぶ必要がある。
 Ⓑ(ポーランド)連帯の登場以降、アダムスミス「国富論」、ルソー「社会契約論」を学んだ。ルソーの人民民主主義、徹底した民主主義の問題~「シトワイアン」の~自立した「市民」が主体的、自立的に行動し、共同体、国家への自立的参加~復権の必要性。
 Ⓒ「シトワイアン」の復権~相互批判、違いを認め、寛容性の必要。暴力的分裂、対立、抹殺の克服の必要性。今後、40、50歳代のメンバーが接着剤となって、我々60年代世代と現在の世代を結びつけることが必要だ。

 G氏のコメント

 Ⓐ連合赤軍の総括~ブント(赤軍派)の急進主義運動の帰結=連合赤軍の粛清・敗北では無い。毛沢東思想、スターリン主義=革命的左派との軍事のみで「野合」「屈服」が問題。「外来思想」の無批判的盲従?この路線闘争の敗北=ブントの「極左的偏向」の弱点
 Ⓑ基本方向の提案~八木さんの資本主義を基準の「総括」を了解出来る。かつ12・18ブント資本主義批判・宇野経済学批判の意義。望月、荒の「転向」をどう見るのか?資本主義批判を取捨する傾向。その根拠として宇野経済学がある。しかし、12・18ブントは「召喚主義」的であり、「資本主義批判」に於いても分裂して行っている。八木さんのフォーディズム批判のウエイトは疑問である。資本主義の第三段階としてのグローバル資本主義の批判の必要、現代革命の基礎の解明。
 Ⓒ疎外論批判~資本主義批判の「認識」のみで、労働者の主体形成は可能か?人間論、「自主性」の提起。9条改憲阻止の会の意義~個人が主体としての運動の意義、可能性の問題。「召喚主義」」ではダメである。

 H氏のコメント

 Ⓐ八木レジュメの「総括」に基本的に賛成。
 Ⓑ資本主義のグローバリゼーション、「第三段階」をどう捉えるか~世界革命の「周期」を考える~フランス革命➡パリ・コンミューン。1905年・17年ロシア革命➡中国革命、キューバ、ベトナム革命で終了。「新第三期論」の必要。
 Ⓒレーニン「帝国主義論」に対して、ローザ「資本蓄積論」の(資本主義の周辺論)再評価の必要。これらも含めて、現代帝国主義の解明が必要
 Ⓓ再結集の政治綱領と資本主義批判について~ブント第三次綱領草案でも「資本主義批判」は「共産党宣言」、ロシア社会民主党「綱領」を基礎にして書かれている。しかし、実際はロシア民主党内でも、ブハーリン等の資本主義批判の相違はあった。問題は「政治潮流」の枠内にあるかどうかである。ブントが再建されても、宇野経済学の影響のある者いるし、生まれる。宇野経済学が不断に「社会民主主義」に傾斜し、結合するから批判する以上でもない。資本主義批判の位置を考える必要がある。またぞろ「排除の論理」が働き「分裂」を再生産する。
 Ⓔ党組織論について~スターリンの源流=レーニン云々で無い。レーニン組織論とスターリン組織論はまったく違う事を踏まえる必要。C、八木君が言われたように、ロシア共産党のスターリンによる「ボルシェビキ」化の経過を再考する必要がある。
 Ⓕ黒田哲学批判については精通していないが、初期マルクスと「ドイツ・イデオロギー」の史的唯物論の確立を経ての、後期マルクスでは「断絶」があり、後期マルクスを支持する立場です。

 参加者のコメント~討議

  • ◎司会~ⓐ戦後、冷戦期の資本主義を、従来「国家独占資本主義」と考えて来た。しかし、  フォーディズムというのは、新たな生産システムとして考えて来たのでは無いか。そういう意味では新たな資本主義システムとして考えられるのでは無いか。フォーディズムと言うのか、国家独占資本主義と言うのか?

  • ◎I~ⓐ戦後帝国主義を、国家独占資本主義一般では無く、労働過程の分析~フォーディズムから再総括の必要がある。
  • 現在の帝国主義のグローバリズム段階は、フォーディズムを経ての、その転換としてある。それは、世界革命の諸条件をより生み出している。世界同時革命は、世界政治・社会同時革命とならざるを得ない。その前段階として60年代階級闘争があった。だからその敗北の総括、教訓は、今後の我々の闘いの条件となる。

  • ◎J~Iは、我々は「フォーディズム」に負けたと言いたいのか?

  • ◎I~一言で言えば、「フォーディズムという資本主義」に負けたと言える。もちろん、戦術、組織論等の他の要素もあるが。しかし、世界共産主義革命の諸条件を生み出してきたとも言える。

  • ◎J~フォーディズムと言う資本主義を批判、突き破れなかったという意味では了解できる。

  • ◎K~質問だが、60年代当時は「軍事」「武装闘争」ということを「ヘゲモニー」としてやって来たのでは無いか。その時、・・・・「逃げた」部分もいる。
  • 70年代以降はこの条件は無くなり、ソ連崩壊以降、「市民運動」の領域で考えて来た。ただし、情勢が煮詰つまり、武装蜂起等が言われだした時、再度「軍事」「武装」ということヘゲモニーが問われるのでは無いか?その場合、どう考えるかを聞ききたい。その共有が僕にとっては必要と思う。

  • ◎司会~同様に聞きたい。69年当時は「居なかった者」だが、ヤルタ体制を打破する運動として、ベトナム革命戦争が展開され、帝国主義の反革命戦争と対峙していた。ゲバラの「第二、第三のベトナムを!」の呼びかけもあった。その呼びかけ、ベトナム革命戦争にどう呼応して、帝国主義内で反革命戦争に対して、「武装闘争・革命戦争」の開始が課題であった。「革命的敗北主義」云々では無く、この課題への着手であった。どう考えるか?

  • ◎I~当時、「武装闘争」によって「革命的敗北主義」を超える契機でもあった。
  • 基本的には「武装」と言うことは、大きくは労働者階級・人民の自己権力の樹立から捉 える必要がある。又、「武装」「軍事」のみを取り出して、全てを考えることは出来ない。第8回大会では、「綱領」「組織」「軍事」「階級基盤」云々とトータルな領域が出された。しかし、それぞれが、別々に、順々に考え、取り組むことは「綺麗ごと」となる。実際は、党内の分岐と党内論争は不可避となる。だから、党内論争の組織化等の「組織観」が重要となる。

  • ◎J~当時は、民衆の運動に何を持って寄与するかは、民衆が出来ないこと「武装」「軍事」で一点突破的に寄与する事を考えていた。若さ~20代の未熟でもあった。本来ならば思想、政治、軍事は別に考えて民衆権力の樹立を考える必要である。資本主義批判を軸にプロレタリアートの解放を考える必要がある。

  • ◎K~それは「認識」ではないか?

  • ◎J~「認識」一般では無い。資本主義批判と言うのは、「思想」のみでは無い。思想と政治~戦略・戦術の二つの面がある。実践的な問題だ。
  • Kの意見については、「旗をふった人間」として責任は考えている。
  • 連合赤軍に於いても、森、永田に責任を押し付けてはいない。
  • 事実関係の分析からは、ブントの武装闘争が「連合赤軍」を生み出したのでは無い。外来思想・外国思想への盲従の結果と思う。ただ、そのことも含めて「責任」は考えている。

  • ◎司会~毛沢東思想の結果では無いのでは無いか。武装闘争の過程での問題では無いか。政治警察との闘いでの敗北・・・その状況、結果では無いか。

  • ◎I~今日は、「7・6」については触れない事を前提に来ている。だから、第8回大会までに留めた。党内闘争の問題だが、その共通の基盤がどう形成されているのか。その為には、イデオロギーもあるが、階級闘争の諸経験もある。党内闘争を展開する場合、共通の基盤は何かを常に確認して行く必要がある。仲良しグループでは無いから、主流派を形成する努力、自らが、主流派である自覚が必要だ。イデオロギー的な脆弱性があった。
  • Kさんの「認識」云々という指摘には共感する。今日は、「総括」の領域がメインだが、資本主義の経過、組織論、根本思想で総括云々で第二次ブントの敗北は総括出来るが、12・18ブント資本主義批判といっても30数年前の話である。I氏的にはブントの「現代革命」論は、30数年前で止まっているのでは無いか。資本主義批判云々だけで可能か?

  • ◎I~そんなことは無い。この間、反差別闘争、「労働情報」運動、農業問題を一つ一つ「革命」との関係~とりわけ社会革命との関係で追求して来ている。その上で現在の反グローバル運動との関係で「現代革命」を提起している。「資本主義のグローバリズム」「反グローバル運動」と言っても、30数年の経過の上にあるのだ。タダ飯を食って来たのでは無い。

  • ◎M~ⓐ(第二次)ブントは敗北し、「分裂」したが、「解体」して無くなってはいない。「分裂」したとは、又再結集が可能であると思う。敗北、分裂したとしたら、何故かは考えて行く必要はある。
  • ⓑ60年代の階級関係~自民党VS日共、社会党・総評、新左翼という構造が90年代以降無くなった。「新左翼」が自力で、自民党との政治闘争、労働運動等の対決構造を作る必要性。
  • ⓒ基本的に「八木レジュメ」の総括については承認できる。又、従来に無く第6回大会の再評価は必要と思う。第二次ブントは戦略・戦術主義で誤りと総括されるが、それのみであったかは再考の必要がある。関西地方委員会は「共産主義論争」と「分派闘争の方法」を巡り論議していた。最終、「無政府主義的」分派闘争には反対した。
  • ⓓ第8回大会は参加したが、「さらぎ・階級関係論」は右翼日和見主義だから粉砕だ!との記憶しか無い。第6回大会の再考も含めて「党建設」の問題意識は必要だ。 当時、60年代末は「1917年状況」の認識であったが、05年から17年にかけてのレーニンの「党建設」を想起する事が必要である。又18年から25年にかけて一国的な革命の勝利から世界革命に向けての社会主義建設のために、党の指導の役割の重要性がある。

  • ◎N~ⓐ総括は難しい。若い人に伝わるような内容、方法が必要。今回は、全体的に分かり易いい。『年誌』の中での論議~政治革命と社会革命で言えば、社会革命派の立場では無いかと思われる。(第二次)ブントの再総括は、第6回、7回、8回、9回大会を経て、どちらかと言うと第7回大会派であった。ただし、今回第6回大会の再評価は意義を感じる。水沢階級形成論にしても正誤は別として、第7回大会では消えている。中央権力問題化され、労働者階級の階級形成と社会主義建設の問題が考慮されなかった。
  • ⓑ総括として、現在的意義を言えるならば「反省」も必要ではないか。韓国の労働運動と比較しても、日本の労働運動は「連合」しか無いと言われる。30数年間と現在の運動圏の現状を考えれば「反省」が必要と思う。「反省」の一つは労働運動である。革命的プロレタリアートの形成に敗北したのでは無いか。ブントはこの粘り強い活動が出来なかった。もう一つは、党建設である。今回の提起は重要と思う。ただ、連合赤軍問題でも言えるが、党内論争の組織化の時、暴力的に展開してきた事である。さらぎ氏の遺言的文書でもこの指摘と「反省」を言われている。まずは「反省」が必要ではないか。

  • ◎O~ⓐ労働組合運動内での「共産主義者」の活動は、継続性と長期性が必要と思う。この点、地区反戦運動も含めてブントは性急すぎた。当時は民同、今も諸潮流に対しては、持久的に活動する必要がある。
  • ⓑ陸・海・空三軍論~陸軍=労働組合、海軍=生産協同組合、事業等、空軍=政党~全国政治、思想・理論、この三軍構造が必要。

2007年6月5日火曜日

広告 資本主義の現在―マルクス主義復活宣言

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資本主義の現在マルクス主義“復活”宣言

旭 凡太郎著         彩流社刊
A5版 327頁         2800円

第一篇 資本主義世界
   第一章 資本主義と多国籍企業
   第二章 資本主義と南北問題

第二篇 社会的対立をこえて
   第三章 国家論の発展とは
   第四章 主体性論と社会批判
   第五章 オウムと宗教

第三篇 旧来の革命像の反転にむけて
   第六章 東欧・ロシア激動の中から
   第七章 中国文化大革命から民主化運動への底流

〈帯より〉
 新左翼の理論家にして現役活動家の手によるソ連崩壊以降の現代世界―アメリカ一極化の政治と経済的混乱の現状―の基本的見方と新たなる社会変革=革命への論理とイメージの共有を求めるための史的総括と可能性を問う“ガンバロウ、サヨク”本。

 ソ連崩壊、総評消滅、さらには分裂や内ゲバ、といったことを経て左翼は試練の時代に入っていった。一方、八〇年代以降世界を席巻した多国籍企業も、アメリカ社会の分解や、メキシコのサパティスタ(一九九四年決起した先住民組織)の蜂起、韓国労働運動の高揚や、アジア経済危機、ヨーロッパ・アメリカでのストライキ等のなかで揺らいでいる。こうした中で日本の左翼運動の後退の著しさが際立ってきた。とはいえ運動そのものは地域でも農村でも広がっているし、労働運動の陣地の確保や新しい試みも進んでいる。運動を着実に切り開き、かつ理論と組織の再編成という視野のもとで行っている人々も数多い。われわれを含め左翼がまだ運動の変化に追いついていないものと考えられる。いずれにしてもこの間の運動の中で、これまでの左翼の組織や理論は分解され、練り直されねばならないだろう。その作業は簡単とも思えない。今広がっている運動と根本的社会的変革、世界変革とが何らかのかたちで直結できる、共通の論理のみならずイメージが必要だからだ。
                                   「はじめに」より

2007年5月29日火曜日

『共産主義運動年誌』第八号発刊にあたって

 当初予定からおよそ半月遅れで、前号より少しスリムになった第八号をお届けする運びとなった。多少とも編集作業については回数を重ねたので、この難渋と身痩せは技術に伴うものではない。手前味噌を承知で言えば、世界とわが国社会との激動が、いよいよ政治社会変革の主体の問題に凝縮されつつつあることの徴と受け止めている。それゆえ会員それぞれの論稿の構成が現れた。この数年来の『年誌』としての次の発展に向かう活動の胸突き八丁であり、そして峠は見えてきたように思われる。

 本年三月に行われた、第九回全体会は次のように確認した。

 まず、「わが『年誌』の活動は、着実にその総合的力量を養い、社会的な存在として堅実な基礎を固めて、次の転換と飛躍を探る段階に入っている」、「こうした活動のために、「コミュニケーションの場」としての『年誌』の活動性格を尊重しながら共産主義運動の発展を目的とする政治的理論的討論の強化を進める。」という第八回全体会の確認を引き継ぎ、さらにこれに踏まえ、会員の要求に応えるための、その現実化のスモール・ステップを次のように提起した。「『年誌』編集活動、事務局活動の強化、『年誌』の『共同政治理論誌』化がそれであり、具体的には事務局メンバーの補強、編集活動・事務局活動における政治的討論の強化である。」「この新しい『呼びかけ』作成討論と共に、向こう一年間の『年誌』活動の課題として改めて提案する。」「情勢に即応するプロ独・共産主義、反改憲の主張を促す試み」に取り組むことなどがそれである。

 こうした確認の幾分かはすでに本号に反映されている。編集のブロックは、従来の構成を踏襲し、より明確なものとすることとした。〈情勢と政治〉における流論文は、発展のための『年誌』の課題と指針を積極的に提起したものであり、これは旭論文、畑中論文が示す、階級闘争の今日的な展開と一体をなすものである。〈闘争と報告〉の飯島さん、伊藤さん、大来さんの、各論文は『コム・ネット』の仲間との共同による「労働運動シンポ」の活動の反映である。これは「労働運動プロジェクトチーム」の理論的な課題でもあり、岩田論文が示唆する実践の展望と結合することが求められている。〈理論と考察〉の旭さん、志摩さん、白井順さんの各論文は、理論小委員会の、新左翼における理論的背景の、重要な一つとしての広松哲学検討の活動の集約である。斎藤論文は、レジュメながら、現在進められている『年誌』関西グループのシンポジウムでの活動の一端を反映したものであり、全体的な共有化が求められているものとして受け止め掲載をお願いした。巻末には白井朗さんの寄稿論文を配置した。いうまでもなく白井朗さんは、ブントと並ぶ、わが国社会における新左翼の源流としての革共同の創設期以来のメンバーである。新左翼運動の発展成長を大きく疎外した「内ゲバ」問題への真摯な反省と、それに踏まえた新左翼運動総括の発展にとって不可欠の政治思想的課題であり、この論稿はそのための貴重な貢献と考えたからである。同時にブント系のものとは別の視点からの、もう一つの新左翼総括であり、創成期の歴史的証言でもある。

 国民投票法案は、五月中には参院での強行採決が行われ、可決成立の見通しといわれている。また、沖縄・辺野古への米軍新基地建設のための調査を強行するために海上自衛隊の投入が決定されたとの報道もある。安部・自公政権の下で、日米軍事一体化、九条改憲に向かう支配階級の反動攻勢は激しい。他方で、労働者人民への搾取・収奪の強化、福祉切り捨て、「社会的格差拡大」が強められ、これに対する反撃も、青年労働者を先頭とする非正規・不安定雇用労働者の闘いの拡大としてはじまっている。世界的な階級闘争の高まりが、ようやくわが国社会に及ぼうとするその兆しが見えてきた。わが『年誌』は共産主義運動がこの闘いに積極的に関与し、貢献するための準備をすすめていく、我々の活動への一層の注目と、さらに多くの仲間の結集を呼びかける。

二〇〇七年五月

『共産主義運動年誌』編集委員会事務局

『共産主義運動年誌』第八号(2007年)・目次

〈『共産主義運動年誌』第8号発刊にあたって〉/事務局  4

〈情勢と政治〉

グローバル帝国主義の危機を国際階級闘争の激動へ!/旭 凡太郎 6
改憲攻撃の火蓋はきられた―支配階級の反動攻勢を全力で粉砕せよ!/畑中文治 26
『年誌』政治潮流化について/流 広志 44
寄稿 国際共産主義運動の再建、あるいは創成に向けて/共産主義者同盟(統一委員会)国際部 52
広告 関西ブント資料集・紙の弾丸/関西ブント資料復刻刊行委員会 62
公示 5・30リッダ闘争35周年記念 全京都メモリアル集会 63

〈闘争と報告〉

大阪・長居公園、野宿労働者のテント・小屋強制排除弾劾!野宿労働者(支援)運動に現れている、「若い労働者」の可能性/岩田吾郎 64
“必要生計費”の合意形成を!―最低賃金を考える―/ワーカーズ 飯島 廣 70
労働運動「シンポ」実論議へのコメント(イ)―旭レポートの「同一労働・同一賃金論」の検討/伊藤 一(『国際主義』編集会議) 79
非正規労働者からの主張―労働運動シンポ実行委員会での論点に即して―《飯島コメント(2006 7・16 運営委員会提出文書)の論点》/大来 慧 92
社会的排除の進行と2年目を迎えた「医療観察法」の施行状況/北村 裕 99
東ティモール:「独立」から「革命」へ/羽山太郎 105
海上の攻防が再び始まった! 沖縄・辺野古の海域現況調査強行を糾弾する/早川礼二 129
訃報 中村丈夫氏死去のお知らせ/フェニックス・グループ 134
広告 中村丈夫グラムシ論集・軍事論集/フェニックス社 135
寄稿 10・8ゲバラ惨殺40年を追悼す―ゲリラ戦・革命戦争の国際主義について―/津村 洋(『国際主義』編集会議IEG) 137

〈理論と考察〉

「唯物論」・「疎外論」を中心とした戦後論争/旭 凡太郎 142
マルクスにおける〈類的本質〉概念のゆくえ/志摩玲介 173
廣松物象化論と疎外論―「不安定」の射程―/白井 順 182
世界資本主義における多国籍企業の役割(レジュメ)/斎藤隆雄 197
自主出版『二〇世紀とはどんな時代だったのか』によせて/植村 泰 210
寄稿 ブントと革共同との歴史的関係について―新左翼創成の歴史を考える/白井 朗 213

【表紙設計:府川充男】
定価1000円 ISBN978-4-903636-01-1C0030
〈取り扱い書店〉模索舎:〒160 東京都新宿区新宿2ー4ー9 tel:03-3352-3557 fax:050-3505-8561
2007年5月25日発行

2007年5月28日月曜日

議案= 総括 付帯提起 『呼びかけ』をめぐる討論の意見集約と総括

(以下の文章は第八回大会全体会で、畑中事務局長によって報告されたものです。)

 議案= 総括 付帯提起
『呼びかけ』をめぐる討論の意見集約と総括

(0)全般的に

 十分練り上げられていなかったにもかかわらず、好意的な反響をいただいた。感謝の他ない。この反応そのものが共産主義運動の再建に向けた関心のありようを示している。提案者側の見解提起の遅れをお詫びするとともに、現在、会を離れた人の意見を含めて、『呼びかけ』本来の目的に向かって相互の意見の共通点と相違についての理解を深め、さらに多数の団結、連合・統一を展望したい。同時代における政治経験を、それぞれの立場は異にしていてもある程度共有した世代が良好な活動実績を示すことによって、次世代に運動と経験を引き継ぐことを目指したい。
それぞれについての見解を記すに際して、まず、『年誌』の活動と組織の基本性格をめぐる意見と『呼びかけ』の内容全般にかんする見解を扱う。「実践」を含むとした『活動の目的と進め方』の当初提案について、趣旨承認する意見と一定の留保をする意見とがあった。発足にあたってはこれは討論の結果「理論と実践に関するコミュニケーションの場」とすることで合意された。この経緯を蒸し返すものではない。しかし、『年誌』活動のあり方にかかわるので、これへの見解を述べる。
 次に各項目について寄せられた意見について。寄せられた意見は、それが逐条的に記されたものであっても、それぞれ全般についての判断を含んでいる。その確認の上で、これに提案者側の回答を記すこととした。
 なお上記の意見交換は、広くは『年誌』通巻6冊に掲載された諸論考のすべてにかかわるものだが、ここでは、便宜のため、『呼びかけ』とそれへの『意見と対案』が掲載された第1号を主要な素材とすることとした。また、同号には、『呼びかけ』執筆者の一人である旭会員の『呼びかけ』についての補足説明と意見に対する応接の文書も掲載されている。参照をお願いしたい。意見への応接には、遺漏も多々ある。筆者の恣意的な選択によって、論点の取捨選択を行った。重大な論点の見落としがあればご指摘をお願いしたい。重複した論点や、おおむね賛意をいただいたと思われる意見についてはコメントを割愛した。非礼をお許し下さい。また筆者の個別的見解については機会を改めて提起するべく努めたい。

 (1)『年誌』活動・組織の基本性格と『呼びかけ』の全般的内容と構成・スタイルに関する意見について

―高寺さん
 政治革命と社会革命との関連にかかわる、現在までの『年誌』での討論の基本的枠組みの一つを提供した意見である。第二号以降の志摩さん、岩田さんの提起も含めて、『年誌』活動全般の総括の中で捉えて扱うことが必要である。ここでは、論点の後半部(P五一~五三)の意見・批判を扱う。
①「唯物史観の基本を押えたトータルな社会批判になっていない」。「剰余価値とか商品とか対象化されたものの生産の在り方だけに目を向けず、人間の特殊な生産・再生産の在り方にも注目することの重要性」についての認識がかけている。
②関連して「賃労働と資本の関係は、剰余価値実現のための搾取のしくみらしい」との批判的言及。
③「市民社会を資本制的生産社会に等置してみること、又は、実体と外観という風に統一してみることは、いずれも全く誤謬」である。
 それぞれ根拠のある批判、意見である。①唯物史観に基づく社会批判の観点を「呼びかけ」のどこに置くのか研究したい。②資本主義批判の記述が雑駁に過ぎるのはご指摘のとおり。だが剰余価値搾取批判を通じて、労働者は自らの階級的立場を自覚するのではないか。③市民社会認識については、現在も議論は続いている。実践的には、アソシエーション革命や、協同組合運動、人権運動、市民運動、新しい社会運動への評価につながる問題であって、依然として重要な問題と認識している。引き続き意見交換と研究を深めたい。ただ一点、市民概念にしても、労働者|市民にしても、それが理想化された観念として扱われると、人間なるものや、労働者階級なるものが先験的に扱われたときに現れるような、倫理的共同体主義に陥りやすいので、この点につき注意を払いたい。
―松平さん
①「党建設の総括」と「新たな革命党の綱領・戦術・組織の策定」の必要。
②「資本主義を悪として断罪するレベルの範囲」にとどまるのではなく「資本主義」「の(労働手段的―引用者)土台の変化・発展から共産主義革命の必然性を解き明かす。」
③「できるだけ大きな労働者党の建設を闘いとる」。組織統合への躊躇、「分散への安住」があってはならない。
④「米帝の他の帝国主義に対する一定の支配・統制の要素を組み込んだ『国際反革命体制』についての認識」が必要。定型的な党建設観(①、③)が支配的であって、議論の接点が少ない。まずは、私たちへの激励と受け止めておきたい。実践による接点の形成を模索する。
―村瀬さん
 自ら認めるように全般的な視点の違いがあるが、穏当な指摘と批判がなされている。論点は多岐にわたるが、以下、主要なところを確認しておきたい。
①「スターリン主義への批判が欠落している。」
②「『危機論型戦略』を脱しえていない観点」、「旧来型の必然史観|決定論的歴史観の限界があらわ」。
③「『修正資本主義』へのオルタナティブで選択的な倫理的批判・政策介入による構造改革を促進」する。「実現可能な『現実的理想』を掲げた社会主義・共産主義を再構想」する。

 スターリン主義批判の文言がないことはご指摘のとおり。スターリン主義批判を口にすれば批判が実現されるとは思わないが、国際共産主義運動の教訓として研究を深めたい。②は第一次、第二次ブント総括にかかわる。危機、恐慌に関する現実認識については、相違を確認することで終わった。ブント総括にさかのぼって議論の糸口を見出すことは可能か?今はわからない。この論点と結びついて修正資本主義への倫理的批判、構造変革、社会主義リベラリズム(③)が主張された。これは、革命闘争にいたる政策研究としては意味がある。実現性については、主体的力量にかかるので、「現実性」を標榜すれば現実化するわけではないこと、こうした政策の実行を保証する「社会主義リベラリズム」の内実が問われることを確認しておきたい。
 残念ながら現実的には、相当の不信感を残したと考えられるので、これもやはり、実践的な信頼関係の形成からはじめるしかない。
―伊藤さん
 これも全般に渉り多岐に意見が示されている。おもなところを以下採録する。
①「過渡期(プロレタリア独裁国家)の経済的土台は、」「特殊な国家資本主義である」。
②「『商品の等価交換』を『表面上のルール』として『実際には』と対置する規定の仕方を適切とは思えない。」
③「『資本主義批判』論議をになってきた諸氏に、この用語を一度止めて、『変革対象としての資本主義の把握』という一般的な枠組みで、それを捉え返せないだろうか」。
④「『二つの独占』の一方の側(金融資本の形成)にしか触れていないこと、時代規定としての性格をあいまいにして、『金融独占資本主義』『国家独占資本主義』『多国籍企業帝国主義・国際独占体の形成』と言う一面の特徴列挙に終わっていることに同意できない。
⑤「労賃格差を基礎とする超過利潤の収奪が列強諸国の法外な富の源泉であり、それが列強の労働者の多層化やブルジョア化などの重大要因にもなってきたこと」への言及がないこと、「いわゆる『南北問題』として」提起されないことに賛成できない。
⑥『経済学批判 序言』での「上部構造の二つの側面=政治的上部構造(「国家」―引用者)と法律的上部構造(「社会」―引用者)という理解。「『国家』は、国家権力・期間と住民・国民との相互関係(支配統治関係)を、『社会』は直接は政治権力による支配・被支配関係を含まないもの、すなわち住民の相互関係全般などを指している。」
⑦「ソ連・東欧体制崩壊に触れられていないこと、中国革命だけが大きい比重をとっていることに、かなり異様な感を受けた。」
 資本主義から共産主義に到る過渡期について(①)は、さまざまな見解と理解がある。この意見も尊重して、今後の意見交換と研究を深めたい。『呼びかけ』執筆の際に念頭にあったのは、レーニンの「五つのウクラード論」である。「国家社会主義」という耳慣れないタームは、和田春樹、広松渉から拝借した。もともとはエンゲルスの『エルフルト綱領批判』の一節、「社会民主党は、いわゆる国家社会主義とはなんの共通点もない。これは、財政上の目的のための国有化の体系であって、私的企業を国家でおきかえ、そうすることによって労働者の経済的搾取と政治的抑圧との力を一つの手に結合するものである」によるものである。ナチスの場合は、民族社会主義と訳し分けるのが正解ではないか。また、共産主義の低い段階としての社会主義という、マルクス主義の通用的な理解については相対化した理解が必要に思われる。社会主義と、共産主義とは、実体として隣接しているが、起源も内容も異なる概念ではないか。
 ③では、「資本主義批判」という語彙への違和についても指摘されている。確かにブント系の一部で使われだした語彙であるかもしれないが、一定の通用性を獲得しているようにも思える。廣松渉、今村仁司の著作にも用例がある。内容については、伊藤さんが指摘するように、「変革対象としての資本主義の把握」と同義である。資本主義批判の内容については、②で指摘されるように、粗雑なものであるとの評価を受け止めたい。簡潔で適切な記述について研究したい。
 帝国主義論の記述についても粗雑であるとの指摘を受け止め、改善を研究したい。④の見解は、帝国主義を「二つの独占」と理解するところに特徴がある。この点については、今後の意見交換を通じて理解を深めたい。「南北問題」への言及の欠如については、ご指摘のとおりであり、記述のあり方を研究したい。帝国主義的超過利潤の基礎が、「労賃格差」にあるとの理解も独特であるので、今後理解を深めたい。
 唯物史観の構造理解(⑥)については、ご自身も言及しているように、グラムシに近いとの印象をもっている、ターム理解の交通整理にとどまらず、実践的にどのような意味を持つのかの考察を今後の課題としたい。ソ・中の記述のバランスを欠いていること(⑦)はご指摘のとおり。現在のロシアなど、ソ連後継国家の評価、中国評価などとあわせて宿題としたい。
―渋谷さん
①「情勢分析と主体といった発想法の危険性にご注意いただきたい。」
②「恐慌とは何か。」
③「第三世界という認識の仕方がいやだから周辺部という言葉を使っているのだろう。」
 全般的に言って、突き放した印象のコメントをいただいた。意見交換と相互交流の実を挙げることが課題である。「情況と主体という言い方(①)は誤解を招いた。「呼びかけ」作成にいたる提案者の経過説明と、呼びかけを行う立場を表現するべきであった。恐慌(②)は資本主義社会における景気循環の集約点である。景気循環の発現がいかに変容したかを相互の語彙を突き合わせて接近させたい。第三世界(③)という言い方は不正確と考えるので採用しないということである。世界システム論と従属論の解説をすれば足りる。

(2)

【情勢と主体】

―安部さん
①ロシアの資本主義発展と「発展途上国」の階級闘争についての評価の不備はご指摘のとおり。改善されるべきである。
②レーニン主義の限界と社会主義社会論に関連しては、国際共産主義運動総括の深化に努め、相互理解を進めたい。
―流さん
 全般的にML主義用語の立場から社会主義建設の歴史的総括を行う点で共感し、さらに理解を深めたい。
―津村さん
 主体の危機を強調する観点を尊重する。世界的な共産主義運動の一部分としての日本における活動であることの指摘は同意のほかない。

【共通認識】

〈資本主義・帝国主義批判〉

 流さん(資本主義批判を商品生産の定在から説き起こすべきこと)、松平さん(資本主義批判を「労働手段の発達と生産関係の矛盾」から説き起こすべきこと)、安部さん(資本主義的商品生産認識の意義を強調)それぞれの意見に学びながら、記述の明確化に努めたい。
―安部さん
 国際独占体、グローバル資本主義の時代の規定の究明を提起されており、その指摘に添った論理の明確化を試みたい。
―津村さん
 「労働者階級」の規定の再検討が提起されている。共通の課題である。

〈戦術・路線〉

―流さん
 明示的ではないが、政党観や、労働者階級の自己権力=プロ独と『呼びかけ』の言う「革命独裁」との異同が指摘されている。相互理解の課題である。
―安部さん
 政治路線の狭さ(社会保障などへの取り組みの必要性)への批判、国家批判の抽象性、一面性。国家介入、社会政策への注目の必要性が指摘されている。学ぶべき課題である。
中国革命への肯定的評価への批判については、さらに研究したい。

〈組織活動〉

―津村さん
 革命闘争における政党、権力、統一戦線などについての理解への疑問が提起された。実践的検証を含めた意見交換が必要。
― ブルジョア階級の政党制への理解についての疑問が示された。一般的にはご指摘のとおり。記述の再検討が必要である。

運営と【会則】

―津村さん
 国際主義と公開性への指摘。全く異議なし。

2007年5月27日日曜日

『共産主義運動年誌』第七号発刊にあたって

 『共産主義運動年誌』第七号をお届けする運びとなった。日々の活動にお忙しい中、出稿、寄稿してくださった、会員、友人の皆さんには感謝のほかない。本号においては、編集の段階で頁を絞り込んだ。長大な論文が並び、三〇〇頁を超える大部となって、読者の便を損なうとの意見によるものである。その結果として掲載を見送ることになった稿のあったことを、読者の皆さんにご報告し、またあわせて執筆者にお詫びしておきたい。また、発行も当初の計画より若干遅れてしまった。第八回全体会の開催日程や、その準備、総括・整理などの作業がおしてしまったことの結果である。これは、昨年来の『年誌』にかかわる諸活動の拡大と、さらにそのステップアップを目指したことの反映である。
『年誌』第八回全体会は次のような確認を行った。本誌編集にあたってもこの趣旨を実現すべく心がけた。
 『年誌』の総合的力量を強めていくことは、引き続きの課題になる。その際に次のことに留意する。理論的提起にあたって、直面する現実の政治社会的変革の内実を問う。より一層実践性を伴うものとすることをめざす。従来、検討を重ねてきた、政治・社会革命理論、市民社会論、情勢分析、また、労働運動をはじめとする活動の諸分野、そして検討の俎上にのぼせつつある、組織論、社会主義・共産主義論についてもこの観点を明確にすることによって、共産主義運動の再建と発展を望む、より多くの人々に訴える言説の力をつけていきたい。またPTなどでの実践的な相互協力の活動においては、『年誌』の枠組みを越えて、積極的に参加を呼びかけ、『年誌』の活動の充実を図る。わが『年誌』の活動は、着実にその総合的力量を養い、社会的な存在として堅実な基礎を固めて、次の転換と飛躍を探る段階に入っている。今日の社会の階級闘争の様々な分野に参画し、またその経験を理論としてまとめ上げ、蓄積することが重要である。『年誌』関西グループやPTの活動の進展はこれを現実的課題として浮かび上がらせるものとなった。反戦・反帝闘争が求める政治的理論的な見地を、資本主義・帝国主義批判に踏まえて、いっそう鋭いものとし、これら押し寄せる大衆闘争を牽引する共産主義運動の理論的展望を開拓するためにも、『年誌』の活動の実際の基準を広げ、また深める活動が求められる。
 こうした活動のために、「コミュニケーションの場」としての『年誌』の活動性格を尊重しながら共産主義運動の発展を目的とする政治的理論的討論の強化を進める。具体的には以下の二点が課題である。①政治的積極性を強め理論と政治思想の影響力拡大のための現実的基礎の開拓を行うこと。PT活動の定型化、地方グループの組織化などがこれに相当する。また、『年誌』内外で行われてきた種々の論争への理論的評価も試みられなければならない。②『呼びかけ』討論の集約にふまえた『年誌』としての新たな『呼びかけ』作成の作業に着手すること、『年誌』結成以来の討論と、その後の情勢に踏まえて、さらに多くの先進的活動者、とりわけ青年を集団的に迎え入れるための政治思想的内容と『年誌』の活動のあり方の再検討が、『年誌』会員の英知を結集して求められる。『年誌』としての新たな『呼びかけ』作成作業はその内実を提示するものでもなければならない。
 わが国支配階級の改憲、新日米軍事同盟強化の攻勢は、ますます急である。現在開会中の国会情勢も目が離せない。さらに、自民党総裁選をはさんで今秋に予定される臨時国会、来年の参院選、統一地方選などの国内政治過程がことことをいっそう明らかにするだろう。これはまた、激烈に進む資本攻勢=「小泉改革」のポスト・小泉政権における集約過程でもある。これに対してわが国労働者階級人民の、文字通りの階級的総決算を突きつけることが課題となる。経済社会的基礎、地域職場からの、反転攻勢を全力で準備することである。闘う主体の側は決して強いとはいえないが、こけおどしに惑わされず冷静に見つめれば、支配階級の側も万能ではなく、むしろ明確な歴史的指針をもてずに混迷を深めているという実態がわかる。世界的な規模で拡大深化を続ける、労働者階級人民の闘いと固く結びつく階級闘争の国際主義的な路線が、展望を開くかぎである。韓国、沖縄の人民闘争との直接的結合を深め、東西アジア、南北アメリカ、ヨーロッパにおける人民闘争のうねりに合流することを目指さねばならない。
 『年誌』の活動が、この闘いのための、政治的理論的貢献と、コミュニケーションの強化につながることをさらに目指したい。仲間の皆さんと読者のいっそうのご注目とご支持をお願いしたい。
(二〇〇六年五月)

『共産主義運動年誌』第七号(2006年)・目次

『共産主義運動年誌』第七号発刊にあたって/事務局 4
『共産主義運動年誌』第八回全体会議案Ⅱ 総括 付帯決議/文責・畑中文治 6


〈情勢と政治活動〉


世界的激動の予兆の中、〈共産主義〉を再確立し、帝国主義打倒の闘いを!/相模 潤 12
持てる力のすべてを投入し、二〇〇六年階級闘争を牽引しよう!/畑中文治 29
クルディスタンにおける人民蜂起と解放闘争/津村 洋 45
共産制社会への過渡期の「計画」を出そう/流 広志 57
二一世紀―新たな共産主義運動の論争の開始を!『関西ブント田原芳論文集』の復刻刊行について/岩田吾郎 58
広告 プロレタリア独裁への道Ⅰ/田原芳論文集刊行委員会 66
寄稿 女性解放運動の総括と地平 戦後を三期に分けて 三・八国際女性デー学習会資料/共産主義者同盟(統一委員会)女性解放委員会 68

〈運動の現場から〉


キューバ―日本から見た精神保健の事情/北村 裕 81
キューバ有機農業への道/佐藤秋雄 86
五・一一「日米合意」を糾弾する  沖縄は日米共同の軍事植民地として固定化・恒久化されようとしている!/早川礼二 102
寄稿 白い棺の内と外  ジャマルさん支援会のこの一年/花房小太郎 107
寄稿 正規・非正規の共同闘争で 最低賃金制を考える/飯島 広 111
寄稿変えよう! 賃金概念 賃金闘争の将来展望を考える/飯島 広 115
寄稿] 非正規労働組合からの報告(労働者「戦略」試論・余話)/大来 慧 120
広告 『クラウゼイヴィッツの洞察』中村丈夫軍事論集/フェニックス社 124

〈論争の深化のために〉


過渡期・社会主義建設をめぐる歴史的論争/旭 凡太郎 126
資本主義批判と共産主義論/旭 凡太郎 163
過渡期の社会的性格について/伊藤 一 177
アソシエーション革命論の課題  労働と生産の場におけるアソシエーション論の探求を  安部治正 191
書評 『モンドラゴンの神話 協同組合の新しいモデルをめざして』(シャリン・カスミア著・家の光協会)
  安部治正 195
書評 『民族とは何か』(関野 講談社現代新書)/安部治正 201
国家・政府・市民社会/斎藤隆雄 210
マルクス・コミューン革命論の地平/志摩玲介 215
[寄稿]流通とは何か(第三版 下)―『年誌』第四号続編―/白井 順 223
寄稿 一九四一年六月二二日/山本健一 235
広告 『二〇世紀とはどんな時代だったのか』/植村 泰 239
【表紙設計」府川充男】
定価1000円
〈取り扱い書店〉模索舎:〒160 東京都新宿区新宿2ー4ー9 tel:03-3352-3557 fax:050-3505-8561

『共産主義運動年誌』第六号発刊にあたって

 『共産主義運動年誌』第六号をお届けする。ご多忙ななか出稿、寄稿していただいた会員や友人の皆さんには感謝のほかはない。長年とりくまれてきた農の現場からの報告などが新たによせられページ数がすこしふくらんだ。このことは、開放されたメディアへの本誌のささやかな歩みをしめすものといえよう。「共産主義運動の主体の再建ならびに、多様な社会変革運動の前進に資すること」を目的に、「理論と実践に関するコミュニケーションの場」の充実をめざすわたしたちにとって、現代の国家と社会の矛盾を切り裂いていく多面的な言説を欠くことはできない。
 編集発行にあたり、今号も第四号からはじめた可能なかぎりの内製化につとめたが、いまだアマチュアリズムの域を大きくでていないことを自覚している。こんごも技術的向上をめざす心意を表明したうえで、各論稿や報告にこめられた内容をくみとっていただくことを読者の方々にお願いしたい。
 さて、二〇〇〇年三月に結成された共産主義運動年誌編集委員会は六年目の活動にはいった。本年三月に開催された第七回全体会では、過去五年間の活動をふりかえり、今後の中長期的な展望をどうえがいていくかについて議論がはじまっている。採択された議案の一節を引けば、共産主義革命運動の現状をめぐって「国家権力奪取がさしあたり切迫した目標とはならない現状であることを共通認識としながら、革命主義的行動を中心に考えるのか社会的ラディカリズムの具体化に力点をおくのか」という、結成以来の内部論争は依然として重要な論点でありつづけている。さらに、「問題は、『年誌』の組織としての現状が、煮え切らない政治的不決断によるものでないとすれば、『あるべき党』への途上性、過渡性に由来するものか、統合運動の手痛い失敗の経験による『羮に懲りて膾を吹く』というたぐいの世間知によるものか、それとも、理論的研究のような活動の本来的な性格に基づくものか、一定の組織原理を想定したものであるのか? というところにある。この点を相互討論のテーマとすべき段階に入った」ことも確認された。もちろん、かんたんに答えを引き出せるわけでもなく、会内外の議論の活性化と叡智の結集がいっそう問われているといってよい。
 会結成後、世界情勢は大きく変化した。〇一年のセプテンバー・イレブンを機にアフガニスタン、そしてイラクにたいする米国の帝国(主義)的な侵略戦争が勃発したこと、また、それにたいする国際反戦闘争の盛り上がりである。日本の小泉政権は、米英による中東侵略戦争に自衛隊派兵をもってこたえたばかりか、その既成事実をてこに憲法改悪、国連安保理の常任理事国入りをもくろんできた。それにたいして、この間、中国・韓国において両国支配層の思惑をこえる大規模な反日運動が展開され、東アジアの政治的緊張も一段とたかまっている。この事実は、日本における反戦・反占領闘争や反改憲世論が一国的な枠組みでは前進できないことをあきらかにしたのである。じっさい、掲載稿にあるように、日本に滞在し生活しているイラン人やクルド人などへの入管行政当局による強制的な収容・送還攻撃が激化している。わたしたちのようなコミュニケーション団体も、二一世紀初頭の世界のアクチュアrティからみずからを切り離すことはできず、しかも、特権的な前衛に滑り落ちずにコミュニズムの思想と運動をいかに再建できるか、この重たい課題を容赦なく突きつけられているわけである。
 理論問題小委員会では、ここしばらく侘美光彦『「大恐慌型」不況』『世界大恐慌』をテキストに討論がおこなわれた。現在、アメリカの景気回復への不安かから世界同時株安の再来がささやかれている点でタイムリーだったろう。しかも情況の根底には、新自由主義的な多国籍資本のグローバリゼイション運動が、地球環境破壊、第三世界の人民抑圧、先進社会における労働者階級の労働力流動化・断裂状態などをともなって展開されている。このことの解明と批判が本誌にもいくぶんか反映されているはずである。
 プロジェクト・チーム(PT)の活動については、なによりもまず沖縄自立連帯運動PTにかかわって昨年「沖縄日雇労働組合と連帯する会」が発足したことをよろこびたい。また、労働運動PTでは、コム・ネットの仲間たちとの労働組合運動シンポを着実につみかさねてきた。青年学生運動PTでは、沖縄五月旅団のツアー活動をおこない、いわば点と点をつなぐ活動が継続されている。これらのとりくみも今号に少なからずもりこまれている。
 本誌発刊を記念する討論集会は後日あらためてご案内する予定である。国内外の深部の流動をみすえ志をつらぬく多くの人びととの出会いをもとめ、ひきつづき友人、読者の皆さんのわたしたちの活動への注目と積極的な参加をよびかける。
(二〇〇五年五月)
『共産主義運動年誌』編集委員会事務局

『共産主義運動年誌』第六号(2005年)・目次

『共産主義運動年誌』第六号発刊にあたって   『共産主義運動年誌』編集委員会事務局 4

【情勢と政治活動】

反戦反グローバリズムから帝国主義打倒へ  旭 凡太郎 6
日米安保協議委員会開かれる 安部治正 25
クルド民族主義と労働者共産党  同志ジャマルとの討議継続のために
                         津村 洋(『国際主義』編集会議IEG) 30
共産主義運動の内容の豊富化のために  流 広志 39
[寄稿]全国の闘う学生に訴える  共産主義青年同盟学生班協議会 43
[寄稿]ワーカーズ・ネットワーク結成のお知らせ  ワーカーズ・ネットワーク運営委員会 50
[広告]『プロレタリア独裁への道〈Ⅰ〉』  田原芳論文集復刻刊行委員会 52


【運動の現場から】
ジャマル産、クルド人二家族と、難民迫害大国日本  伊藤 一 54
労働者「戦略」試論―間奏―  大来 慧 59
自治体労働運動に問われていること―自治体版「構造改革」攻撃に職場・地域から反撃を!  早川礼二 65
引きこもり・ニーとの現在  北村 裕 71
なぜ沖縄なのか  佐藤秋雄 76
[寄稿]ヘルパーステーションから介護系NPOの設立へ  絵描き 植村 泰 78
[寄稿]社会の再生プログラム  北原寿子 120
[広告]『中村丈夫氏 グラムシ論集』  フェニックス社 129
現代派遣事情 (小説)  アウト飲み屋 130


【論争の深化のために】
改憲阻止闘争のために マルクスの革命論から  アウト飲み屋 141
「国家独占資本主義論」から「多国籍企業帝国主義論」へ  旭 凡太郎 158
矛盾深める資本の世界に、リアリティあるオルタナティブを対置していこう  安部治正 200
南北問題をめぐる一根本問題  伊藤 一 202
〈過剰生産恐慌=実現恐慌〉論の克服  志摩玲介 250
共産主義運動の組織問題―一つの視点  畑中文治 271
[寄稿](商品生産の揚棄)を考える―「単一の協同組合論」「一国一工場論」を素材として―  ワーカーズ 飯島 廣 286
[寄稿]労働観の現在―「物量体系の第一次性」批判―  白井 順 310
【表紙設計:府川充男】
定価1200円
〈取り扱い書店〉模索舎:〒160 東京都新宿区新宿2ー4ー9 tel:03-3352-3557 fax:050-3505-8561 

『共産主義運動年誌』第五号発刊にあたって

 『共産主義運動年誌』第五号をほぼ予定通りお届けする運びとなった。もとめに応じて稿を寄せてくださった仲間、友人たち、編集発行の活動に際して、有益な示唆、助言、また具体的な助力を下さった多くの皆さんには感謝のほかない。とりわけ悦ばしいのは、掲載稿の本数、執筆者ともに、入れ替わりはあるものの確実に増加しつつあるという事実である。結果としてページ数も少し膨らんだ。これは、当『年誌』を媒介として討論を起こしてみようと考える新しい仲間が増えていることを意味する。イデオローグの大論文数本とともに、簡明にして心のこもった数十本の報告と提言が、『年誌』にはますます必要になる。|共産主義運動の主体の再建|社会変革運動の前進に資すること|を目的とし、|理論と実践に関するコミュニケーションの場とすること|を課題におく私たちにとっては大変心強い励ましである。
 編集発行にあたっては、前号に引きつづき、今号においても、可能なかぎり内製化につとめた。おおよその行程についての理解は出来たものの、結果の稚拙さは否定しがたい。共産主義運動にかかわって、編集の情熱を持つ人材の登場を促したい。
 本誌編集に先立って、当会は本年三月、第六回全体会を開催した。採択された活動方針では、全般的には、帝国主義諸列強国によるイラク侵略戦争・軍事占領、朝鮮半島における政治的軍事的危機の切迫化、国内における有事立法・戦争動員の具体化、改憲日程の接近などの情勢の激動のなかで、共産主義運動がマルクス主義の見地からその本来の役割を果たすべきこと、反戦闘争の諸課題に取り組み、相互協力を深めるとともに、理論的問題提起、政治思想的展望の提示を行うことをめざすものとした。
 これにもとづいて、具体的な情勢の要求する変革主体について「共産主義運動の組織」を理論的検討課題とすること、当面する反戦・反改憲闘争にかかわって|『年誌』のスタンスから可能な政治的共同実践とは何か|を問う討論素材を作成することが確認されたが、残念ながら第五号にそれを集約することは出来なかった。さしあたり、掲載された諸論文から、眼光紙背に徹して、その意図を汲み取っていただくしかない。とは言え、それぞれの問題は、一篇の作文で解決されるような性格のものではあるはずもない。次号作成を待たず、早急に全体討論を起こすべく作業を進めたい。寄稿していただいた「共産主義者同盟(統一委員会)の結成宣言の意味を、私たちなりに重く受け止めていきたいのである。
 「理論問題小委員会」の活動に関わっては、情勢への対応を考慮して、「帝国主義論」「二段階論」を論点としてきた。『段階論の研究』(新田滋著/お茶の水書房刊)を素材として、検討を重ねてきたことが誌面に反映されている。この本を選んだ理由はマルクス主義経済学の畑で、若手(中堅?)の研究者の問題意識を知っておきたいということもあった。斎藤隆雄さんの寄稿も、この意図を汲んでくださったことを理解している。
 また「コム・ネット」の仲間を中心に、私たちの仲間も含んで続けられている「アソシエーション革命」をめぐる論考も、収録した。政治革命と社会革命とにかかわる議論として配視しておきたい。
 プロジェクト・チーム(PT)の活動については、引きつづき、「コム・ネット」の仲間との合作による「労働組合運動PT」にかかわるものが着実に進められていることを、誌面から読みとっていただけるだろう。労働組合運動一般の衰退がいわれる時代ではあるが、視点を転じれば前進もある。これが量質転化の契機となるかどうかが問題だ。
 「青年学生運動PT」「沖縄自立連帯PT」についても今後まとまった報告を作成することを期したい。また「年誌」関西グループの精力的な活動が、本誌作成の大きな力になったことは特記して感謝したい。こうした活動こそが、私たちに現実性とスケールとを与えてくれる。同様に、一貫して寄稿してくださっているJVPの仲間をはじめとして、国際主義の連帯活動にかかわる仲間についても改めて感謝したい。資本のグローバリズムに抗する、労働者階級被抑圧人民の連帯は、このようにして一つ一つ着実に蓄積されるしかない。
 本誌刊行を記念する討論集会は、事情によって九月ごろになる。改めてご案内する。世界的にも一国的にも、資本攻勢に規定された情勢が続いているが、どうも彼らにもその政治的集約の展望はなさそうだ。わが国の七月参院選挙、一一月米国大統領選挙などの結果、その意味するところを示すだろう。その間に、この夏の間にどれだけ労働者階級被抑圧人民の運動を具体的な要求と組織として対抗勢力とできるのか。これを念頭において引き続き活動に力を注ぎたい。
(二〇〇四年五月)
『共産主義運動年誌』編集委員会事務局

『共産主義運動年誌』第五号(2004年)・目次

『共産主義運動年誌』第五号発刊にあたって   『共産主義運動年誌』編集委員会事務局 4

〈情勢と政治活動〉
米英日帝国主義有志連合によるイラク侵略戦争・占領に反対する
    労働者階級被抑圧民族人民の政治態度を形成するために  畑中文治 6
戦争・抑圧・排外主義に抗し難民鎖国・入官体制を打破しよう!
       ジャマルさんの強制送還阻止・難民認定を!  津村 洋(IEG/コム・ネット) 15
〈研究ノート〉沖縄の自立解放について・その2  大杉 莫 33
スペクタクルとしての平和 アウト飲み屋 60
情勢の変化と共産主義運動の再生 流 広志 73
希望・その後  羽山太郎 76
[寄稿]革命的労働者党の建設をめざして船出します  共産主義者同盟(統一委員会)海路 薫 82

〈運動の現場から〉
第二次BUNDの「階級的労働運動」の批判的検証  岩田吾郎 87
[寄稿]岩田吾郎論文への『コメント』  榎原 均 95
労働運動をめぐる諸論点  旭 凡太郎 96
[寄稿]労働者戦略試論三―平均主義批判(その2)―  大来 慧 113
〈報告〉保安処分新法(心神喪失者医療観察法)の発動を許すな!  北村 裕 125
スリランカの新しい局面/JVPの政権入り、「和平交渉」の現段階など
     ―JVP日本委員会サマン・プリヤンカラさんに聞く
                  サマン・プリヤンカラ(スリランカ人民解放戦線・日本委員会) 128
[広告]『中村丈夫グラムシ論集』  フェニックス社 149

〈論争の深化のために〉
新田滋の〈市民社会〉了解について  志摩玲介 150
マルクス経済学論争史と宇野理論―新田滋『段階論の研究』討論を記に!  旭 凡太郎 165
村岡氏の幻想的社会主義を批判する  守田典彦 200
国際決済制度と世界資本主義の変容  斎藤隆雄 209
〈書評〉『「所有権』の誕生』加藤雅信・所有誕生の起源を考察するというが、私的所有永遠化論に陥っていないか  安部治正 225
[寄稿]「アソシエーション革命」を考える―廣西氏のマルクス解釈をヒントとして― 飯島 広 229
[寄稿]〈愛〉と連帯社会主義―マルクスとフロムを超えて  村岡 到 246
[寄稿]『資本論の哲学』と宇野経済学(改訂版)―労働価値説について―  白井 順 260
【表紙設計:府川充男】
定価1000円
〈取り扱い書店〉模索舎:〒160 東京都新宿区新宿2ー4ー9 tel:03-3352-3557 fax:050-3505-8561 

『共産主義運動年誌』第四号発刊にあたって

 『共産主義運動年誌』第四号をお届けする。第三号の発行が昨年の一一月であったから、年刊のペースを三ヶ月間短縮しての発行になる、本年年初以来の反戦闘争の連日の激闘と、資本攻勢に抗して労働者の権利と生活を守るための闘いのなかで、多忙を極めてきたにもかかわらず、変わらぬ友誼と変革の希望を絶やすことなく稿を寄せてくださった仲間と友人のみなさんに深く感謝したい。創刊当初は、毎年四月発刊をめやすとしてきたので、さらに一段の、刊行ペースの取戻しを期したい。
 以下、『年誌』の活動の現状報告をいくつかのポイントに絞って行い、本誌編集の眼目を知っていただくための手がかりを提示することとし、もって第四号発刊にあたっての緒言とする。
 本年二月、私たちは第五回全体会を開催し、活動方針にかかわって、当面する課題を次のように確認した。「共産主義運動の発展を目的とする政治的討論の強化を進めます。帝国主義列強国によるイラク侵略戦争の現実化、朝鮮半島における政治的軍事的危機の切迫化、これに対応した、我が国における有事立法、戦争動員の具体化など、情勢の激動の中で反戦闘争の諸課題が押し寄せています。この状況に対して、共産主義運動がマルクス主義的見地から真剣に取り組み、その本来の役割をはたすことが切実に問われています。この状況に対して、共産主義運動がマルクス主義的共産主義運動の分散状況と政治的思想的混迷にあって、十分にこの役割を果たしていない現実があります。私たちは、積極的な相互討論と強力を強めることによってこの状態を打ち破り、可能な限り積極的に労働者階級被抑圧民族人民の根本的利益の立場からの問題提起と政治思想的展望を示す活動を実行することをめざします。/同時に。私たちは、現在の『年誌』の主体的な力量の部分性や、小ささについての偽りのない自己評価をみすえて、各々の立場から今日の社会の階級闘争の様々な分野に参画し、地道な経験を積み重ね、またそれを理論としてまとめ上げ、『年誌』発足以来の問題意識を堅持しながら、『年誌』発足以来の問題意識を堅持しながら、『年誌』そのものの総合的力量をつけることを目標にします。直面する反戦運動などへの積極的なかかわりの際にも、『年誌』を発展させることが、全員のそれぞれにとって意義深いものとなるような活動を行います。」
紹介した議案の前半部分についての説明は不要だろう。今号においても、今年前半の期間を通じて、心有る人びとが全力を振り絞って取り組んできた、イラクに対する新たな帝国主義侵略戦争に反対するための戦争についての、マルクス主義、共産主義運動の立場からの主張が少なからず盛り込まれている。
議案の後半については、『年誌』そのものの強化と拡大を目標として、全体討論に絶えず、還元することに留意しながら、政治的環境や条件に具体的に対応する具体的な活動を展開することが主旨である。『年誌』に参加する会員が共通に携わり、関心を寄せる活動の諸分野について、意見交換を深め、相互協力を強めるために、プロジェクトチームを形成し、さらにその活動の発展を促すこともその重要なひとつである。また可能性があれば、地方における『年誌』会員グループを形成することも同様に重要な目標である。これらは、ようやく活動の出発点にたったというのが現実であり、種々の試行錯誤を重ねながら、今後、討論と検証を経て豊富化していくべき性格のものである。労働運動については、その一端が、本誌においても反映されている。
最後に、やはり第五回全体会で発足した「理論問題小委員会」の活動と、そのイニシアティブによる「論点整理」についても紹介しておきたい。まず「小委員会」の性格について。「政治的理論的討論そのものは、『年誌』活動の中心的な内実であり、会員の全体で等しく取り組むべき性格であること、したがって、理論問題小委員会が行う活動については、①討論のテーマ、ポイントの整理、②討論のコーディネイトなどに限定する必要がある」(第五回全体会活動方針)。これに踏まえて、「小委員会」は、早速従来の論点の整理の作業を行った。従来の「論点」とは、①市民運動・社会運動の評価と階級理論、②スターリン主義批判、③危機論と資本主義観、革命観、④今日の資本主義論・恐慌論、⑤政党論、⑥現場からの実践的問題意識を受け止め、コーディネイトし、論理化すること、⑦市民社会論、⑧新左翼総括の八項目であった。検討の結果、次の七項目への再整理を図ることが報告された。
(1)現代帝国主義(民族問題)、グローバリズム、国際マネー体制、危機論・・旧③④
(2)政治革命と社会革命論、アソシエーション社会主義、市民社会論、革命戦略・・旧①⑦含む
(3)プロ独、社会主義論、国際共産主義運動総括を含む・・旧②含む
(4)ブントなどの総括を含む政党論・組織論・・旧⑤含む
(5)賃金奴隷制と国家・市民社会
(6)スターリン主義批判と新左翼総括・・旧②⑧
(7)現実からの実践的問題意識を受け止め、コーディネイトし、論理化すること・・旧⑥
 これらの項目整理と、それぞれについての内容的な検討は、次の全体会に至る活動の中で行われることになる。今号でも、こうした問題関心の反映は見て取っていただけると思う。
当今では「批判の武器」という類いの言い回しはあまり目にしなくなった。しかし、吹き荒れる資本攻勢と、帝国主義侵略戦争にもっとも強い抵抗の立場を提示することはますます切実な勤労被搾取人民の要求である。これを正面から受け止め、最新の思想と理論、政治社会変革の最強の意志によって、『年誌』をこのための「批判の武器」を鍛える、熱気ある意見交換の場とすることが私たちの願いである。本誌発行が、その役割をはたすことができるのであれば、慶びこれに過ぎたるはない。二〇〇三年八月『共産主義運動年誌』編集員会事務局

2007年5月26日土曜日

『共産主義運動年誌』第四号(2003年)・目次

『共産主義運動年誌』第四号発刊にあたって/編集委員会事務局 4

〈情勢に抗して〉
「世界標準」としてのアメリカ帝国主義の凋落と世界資本主義の危機の泥沼化
――イラク反戦、反グローバリゼーション/旭 凡太郎 6
北朝鮮支配体制の自己分解の可能性と行方
――一党支配・分派による政治支配と一元的命令指揮計画型国営経済の融合、としての国家社会主義(スターリン主義)の世界的崩壊のなかでの、北朝鮮型延命社会の全社会的労働者統制型・自主管理型社会への転換ならびに民族統一の可能性/旭 凡太郎 29
米国・英国・日本をはじめとする帝国主義諸大国によるイラク侵略戦争に反対する!/共産主義者同盟首都圏委員会 44
アフガン左翼の復興に支援・連帯しよう!/津村 洋(『国際主義』編集会議) 50
《寄稿》イラク戦争をめぐる政治総括と朝鮮反戦をめぐる課題/共産主義者同盟(全国委員会) 63

〈論争の深化のために〉
国家と市民社会、賃労働をめぐる諸論争
――個人、権利、義務、主体性論などの歴史的系譜/旭 凡太郎 73
現代「政治革命・社会革命」の特質/高寺良一 97
私的所有の揚棄とは何か/志摩玲介 121
帝国主義・国家・市民社会・労働/流 広志 154
《寄稿》流通とは何か(第三版)/白井 順 160
《寄稿》マルクス(主義)の致命的欠陥―マルクスは民主主義を理解できず/村岡 到 173
《寄稿》同人誌 二一世紀への置文―新十年誌(〇一年~一〇年)/フェニックス社 179

〈闘いの現場から〉
労基法改悪攻撃、首切り自由、長時間・過密労働の押し付け、業績競争の強制を許すな! 有期雇用の三年への延長、裁量労働制の対象拡大反対!/ワーカーズ・ネット 安部治正 180
労働政策審議会パート労働者対策報告を読む/ワーカーズ・ネット 安部治正 187
労働運動が遭遇している問題(の一端)と年誌編集委での提起・取り組みについて/伊藤 一(『国際主義』編集会議) 194
《寄稿》労働運動シンポを振り返って/『ワーカーズ』飯島 広 229
《寄稿》
労働者「戦略」試論(二)―平均主義批判(その一)/大来  235
精神障害者差別に貫かれた「保安処分新法」の成立を糾弾する/北村 裕 244
農民と私/羽山太郎 248
《寄稿》『共産主義運動年誌』編集委員会、『年誌』読者の皆さんへの連帯挨拶/六月八日・千葉蘭華寺でのテロ事件の報告(資料)/スリランカ人民解放戦線(JVP)日本委員会 サマン・プリヤンカラ 252
【表紙設計:府川充男】
定価1200円
〈取り扱い書店〉模索舎:〒160 東京都新宿区新宿2ー4ー9 tel:03-3352-3557 fax:050-3505-8561

資料2

『共産主義運動年誌』第四回全体会決定集
二〇〇一年九月   於 東京
第一部
【議案一】
  A会員およびその言動への同調者との組織の分離について
  提案者:旭凡太郎、伊藤一、北村裕、志摩玲介、滝澤範治、津村洋、畑中文治、羽山太郎、八木健彦
一・経過
(一)二〇〇一年四・三〇討論集会から第三回全体会まで
 これらについてはすでに第三回全体会で十分検討したので繰り返しは省く。その結論だけを採択された議案から確認しておこう。
 第三回全体会は、以下の議案の文言を賛成多数で採択した。本来ならば本年一月全体会・合宿開催、四月『共産主義運動年誌』第三号発行、発刊記念討論会開催を実現するはずであったが、A会員による再三にわたる議論の蒸し返しによって運営が滞り成り立たない事態が続いた。以下の議案の採択によって、この現実を打開し、A会員に反省を促す会員多数の意志が表明された。

私達はこの間の四・三〇以降の論争の経緯を振り返って、問題の所在について以下の見  解を確認する。
①四・三〇討論集会での津村さんとの論争についての、一連のAさんの文書と言動は問題についての誤解と、当事者間で解決済みの問題についての蒸し返しと、津村さんへの批判の自己目的化によって、『年誌』におけるコミュニケーションのあり方からのからの著しい逸脱があること。
②事務局長と羽山会員の調停の試みを自ら否定したように、対立の収束と相互反省の意志が見られないこと。
③その結果事務局活動のあり方を大きく損なっていること。
 上記の理由から、私たちは、Aさん自身から自らの行為と言説についての根本的な反省を明示していただけない限り、事務局活動をともにすることはできないとの判断を明らかにせざるをえない。

(二)第三回全体会から現在まで
 以降、『年誌』事務局会議の活動は、実質的に懸案であった第三号の編集に集中することになった。 しかし、『年誌』第三号に向けてA会員から送られてきた原稿『現代社会主義者の党組織論をめぐる論争的教訓』によって問題は再発した。
 第三期第四回事務局会議(八月○日)では、①『年誌』第三号においては『年誌』第三回大会の決定について言及する予定はなかったこと、②上記のA会員『教訓』論文が、第三回大会の決定の趣旨を理解したものとは受け取れないことから、A会員に『教訓』論文の手直しを要請し、これが容れられないならば、当該論文については『年誌』には掲載できない旨の通知を行うことを決定した。
 A会員はこれを不服として、八月一三日付で、『年誌』会員宛の意見表明を行った。これは実質的に、上記事務局の決定を撤回し、当該論文の掲載を要求することであった。
 これを受けて、第五回事務局会議(八月○日)を開催して対処について検討し、以下の結論に至った。
 再び確認された、A会員との意見の対立は、当面調整、修復の可能性をもたない性格のものであり、したがって『年誌』の合意に基づく運営はこの点では不可能になった。したがって、早急に臨時全体会を招集して、問題を全会員に諮り、A会員および、その意見に同調する会員との組織的分離を行った上で、『年誌』の活動を継続することが必要である。
 この決定に基づき、第四回臨時全体会を九月○日に、代表と事務局長が招集することとし、その通知を八月○日に全会員宛に行った。
二・総括
 A会員は次のように言う。
 「(公開制の原則)に始まり(非公開の原則)に収束した惨めな『論争』的結末の変革を求める立場から、今一度、この間の運営・組織論をめぐる論争的教訓の検討を呼びかけたい」。「願わくば、『理論の自己矛盾を突かれて、潰される』などいった〈被害妄想〉に支配されることなく、多くの方がこの問題を他人事と扱うことなく、恐れず自らの立論を厳密に再検討し、誤りを早期に是正されることを要請します」(『教訓』)
 (第三回全体会の決定は)「(合意)方式ではなく(多数決)方式で『強行採決』されている点で形式的に疑義の残るものであり、・・・内容的にも、提案者の運営上の自己反省がないまま、Aを一方的に非難すると言う公平性を欠くものであり」・・・。「私の理論内容の骨子は4月総会で明示しており、理論的反論を試み執筆する条件は十分にあったはずです。異論は行政的にではなく内容的批判で応えるべきであり、自らの理論的怠慢を棚に上げ、他者の理論的公表を妨害する愚を犯すべきではありません。」(八・一三意見)
 「経過」の項で確認した第三回全体会の決定の趣旨に照らしたとき、上記紹介したようなA会員の相変わらずの論調(責任問題の理論問題への論点移動、政治的独善主義)は、問題意識の再共有や相互反省の可能性・意欲について否定的判断を下さざるをえないものである。そもそも、第三回全体会決定は、非常的、緊急避難的性格のものであり、分離か再統一かの、可能性を見極める猶予期間の設定としての意味をもつ措置であった。
 そして、上記A会員の言動は、自身の政治責任に帰せられるべき組織的混乱を反省し他の会員との信頼関係を回復しようとする姿勢が見出せないものであり、よって自ら統一の可能性を閉ざす応答となった。
 もはや事態は、A会員およびその意見に同調する会員とは一旦完全に分離したうえで、それぞれのコミュニケーション方式を、それぞれの実践によって検証し合い、相互反省を試みるほかにはない地点に達している。
 『年誌』はゆるい組織だが、組織を同じくしてる限りは、相互反省の姿勢と、問題意識やコミュニケーションを共有していく意図をもたず、事実誤認の上に論陣を張り、相手批判を自己目的化し、自己の意見への同意を「合意」として強要する人々にたいしてさえも、コミュニケーション実現のための労力・時間・エネルギーを費やさないわけには行かない。それが空費におわる状態をこれ以上放置することは出来ない。歩み寄りが出来ない意見の対立が生じたとき、その意見の相違にしたがって、一旦それぞれ完全に分離すること、そしてそれぞれが別個に自己検証を行う機会を設定することが現実的である。
三・結論
 A会員およびその同調者との速やかな分離を決定し、『年誌』活動を継続する。
(上記議案のゴシップの部分は修正箇所です)

資料1

会員各位様

第四回臨時全体会招集のお知らせ

 各戦線にて御奮闘のことと存じます。 『年誌』三号へのA論文(『現代社会主義者の党組織論をめぐる論争的教訓』)と、その掲載をめぐり論議があることは、すでにご存じと思いますが、この問題の検討を行った八月○日の事務局会議において、早急に第四回臨時全体会を招集して、一層基本的な問題をめぐる討論を行い、解決をはかることが必要との結論に達しましたので、お知らせします。
  周知のごとく本年四月の第三回全体会では、昨「四・三〇討論集会での津村さんとの論争についての、一連のAさんの文書と言動は問題への誤解と、当事者間で解決済みの問題への蒸し返しと、津村さんへの批判の自己目的化によって、『年誌』におけるコミュニケーションのあり方からの著しい逸脱があること」、「調停の試みを自ら否定したように、対立の収束と相互反省の意志が見られないこと」、「その結果事務局活動のあり方を大きく損なっているということ」を確認しました。そしてこれらについて、Aさん自身から、明確な反省を示していただけない限り、事務局会議への出席を遠慮していただくという趣旨を、あわせて確認しています。
  これは非常的、緊急避難的な性格のもので、いわば分離にふみきるか、再統一かを見極めるための「別居騒動」としての意味を持つ措置でした。
 今回のAさんの文書についての見解は様々にありうるでしょうが、上記第三回全体会決定の趣旨に照らしたとき、問題意識の再共有や相互反省への可能性・意欲について否定的判断を下さざるをえないものといわざるをえません。したがって、もはや、Aさんおよび、その意見に同調する人たちとは一旦完全に分離したうえで、それぞれのコミュニケーション方式を、それぞれの実践によって検証しあい、相互反省してゆくことを試みるほうが良いのではないでしょうか。
  『年誌』はゆるい組織ではありますが、組織を共有している以上、相互反省の姿勢と、問題意識やコミュニケーションを共有してゆく意図をもたず、相手批判を自己目的化する人々にたいして費やさざるをえない労力・時間・エネルギーの空費は無視できません。歩み寄りの困難な意見の対立が生じたとき、その意見の相違にしたがって、一旦それぞれ完全に分離すること、そしてそれぞれが別個に自己検証を行う機会を設定することが、現状にあっては実際的であるとも考えています。 
 『年誌』第三号の再編集、発行の遅れ、予定していた「討論会」日程の全体会への振り替えなど多大な犠牲をともなうことになりますが、やはりこの問題は全体会において、論議し決定せざるをえないと考えます。
 他方、次の国会で有事立法の継続審議が目論まれ、イスラエルによるパレスチナ軍事侵攻・再占領が行われ、米帝国主義によって「対テロ戦争」準備が進められている政治的状況に私達は直面しています。これとの闘い、ならびに年誌討論集会で予定されていた沖縄・安保、労働運動、農民運動、反差別運動、反帝国際連帯活動等についての報告・討論も、またあわせて行いたいと思います。
  つきましては、大変ご多忙のこととは存じますが、下記の通り第四回臨時全体会を招集いたしますので、万障お繰り合わせの上ご出席くださいますようお願いいたします。
二〇〇〇年八月○日『共産主義運動年誌』編集委員会
    記
日時 (略)
会場 (略)
議題 1 A問題/2 有事立法反対運動ならびに今後の階級闘争についての討論

『共産主義運動年誌』第三号発刊にあたって

 『共産主義運動年誌』第三号をお届けする。第二号発刊が、昨年四月であったので、通常ペースからおよそ七ヶ月遅れてしまったことになる。本誌の編集にあたっては、本当に微力ではあるが、昨年来の米帝のアフガン侵略戦争に抗する反戦反帝闘争、異様な支持を集めて発足した小泉政権の有事立法をはじめとする諸反動攻勢との闘いなどの息吹を反映するべく意を用いて。また当『年誌』そのものの取り組みではないが、『年誌』における意志疎通を基礎として行われてきた労働組合運動、青年学生運動にかかわる取り組みや、提言についても可能な限り反映することにつとめた。現在、米帝ブッシュ政権によって強行されようとしているイラク侵略戦争、これに追随する小泉政権との闘いなどについては、次の編集の課題としておきたい。歴史的な転換点ともいうべき局面に立ち会って私達が語るべきこと、なすべきことは私達の手に余るほど押し寄せている。志を同じくする友人の援助を心からお願いしたい。他方、編集準備の不備にもかかわらず、前号にもまして、稿を寄せてくださる仲間が増えたことは、わたしたちにとって全く望外の喜びであった。ご多忙な中、煩をいとわず理論的、実践的な関心にかかわって稿を寄せて下さった皆さんに改めて深く感謝したい。こうした仲間、友人達の期待に応える活動を心がけたい。ふつつかではあっても「共産sにゅ議運動の前進に資する」コミュニケーションの充実をめざして一層力を注ぎたいと思う。
 本誌作成にいたるまで、私達は第三回(本年四月)、第四回(本年九月)と二回の全体会を開催して、本会の内部で発生した紛争の解決にあたらねばならなかった。その概要については、別に『第四回全体会招集のお知らせ』と『第四回全体会決定集(抜粋)』とを資料として掲げておいたのでご覧いただきたい。本会結成以来の会員たちとの組織的分離を行うことが私達の選んだ結論であった。またこのことをきっかけとして退会された会員もいる。多くの会員の熟慮を重ねたうえでの意見交換と、繰り返し行われた討論の上で選択したやむをえない結論であったとはいえ、団結を損ねた事実は残る。多少なりとも『年誌』に期待をかけてくださった人々の信頼を裏切る結果になり、まことに心苦しい。私たち自身としてもコミュニケーションの発展を求めて、ディスコミュニケーションの結果に至ったことに、内心忸怩たるものがある。
 今回の私達の選択した結論の是非については、可能な限り求めに応じて、文章や、口頭での釈明の労をいとわないことは言うにおよばないが、基本的にはこれからの私達の活動によって判断していただくほかはない。今回の紛争とその解決を教訓として、より円滑でかつまた、お互いの意見を深く交換し合う、討論の実をあげていきたい。そのためには運営のあり方、会の目的などについての見直しも必要かもしれない。これらは、次の全体会での検討課題になる、これらの努力を重ねて、今回私達とは別の道を歩むことになった人々とも、再び胸襟を開いて討論を行うことができるような、力をつけていきたいといまは強く決意を固めている。更に多くの友人、読者の皆さんの私達の活動への注目と積極的な参加を呼びかける。
二〇〇一年一一月
『共産主義運動年誌』編集委員会事務局

『共産主義運動年誌』第三号(2002年)・目次

『共産主義運動年誌』第三号発刊にあたって 4
『共産主義運動年誌』編集委員会・資料 6

〈情勢に対して〉
反戦・反帝闘争と反グローバリゼーション/旭 凡太郎 10
「反グローバリゼーション闘争をめぐる討議/伊藤 一(『国際主義』編集会議) 18
有事法制、小泉改革、カナナキス・サミット、米資本主義の動揺について/安部治正(ワーカーズ・ネット) 55
有事立法阻止を闘う視点を整えるための小論 二篇/畑中 文治 69
日本帝国主義打倒にむけて/旭 凡太郎 75
《寄稿》ブントを継承して日本の共産主義運動を再建しよう!/共産主義者同盟(全国委員会) 100
《寄稿》スリランカにおける反グローバリゼーション    
―労働者・学生。市民の共同闘争が民営化を阻む/サマン・プリヤンカラ(人民解放戦線JVP―スリランカ日本委員会) 11

〈論争の深化のために〉
畑中論文への批判的コメント―『年誌』第二号をめぐって/志摩玲介 130
共産主義運動の課題について思うこと/流 広志 150
問題提起:「内ゲバ」を一掃するためにVer.2/津村 洋(『国際主義』編集会議) 155
《寄稿》一つの警告/松平直彦 168
《寄稿》エコロジー・平等・社会主義―ホワン・マルチネス=アリエ著『エコロジー経済学』(新評論、1999年)に学ぶ/村岡 到 170
《寄稿》英雄と悪漢’Heroes and Villains)―市民社会の労働と資本(御当地バージョンB)―白井 順 181
《書評》今蘇るグラムシ左派の本領    
    ―「中村丈夫グラムシ論集―歴史主義と政治の主体―」 202

〈闘いの現場から〉
沖縄の自立解放に向けて―復帰・併合・買弁勢力に抗して/大杉 莫 203
「保安処分」新設攻撃との闘い―新たな保安処分新法を廃案へ―/北村 裕 224
大豆畑トラスト運動について/羽山太郎 231
全社会的(力関係)判断、主流派的発想(創意)とむすびついた「現場主義」ということについて―国労四党合意批判と、一部セクト的支援への批判の基本的観点―旭 凡太郎 234
《寄稿》労働者「戦略」試論―空間主義批判―/大来  241
《資料》青年・学生運動のために/志摩玲介、津村 洋、畑中文治 247
《寄稿》5・15沖縄現地行動にともに!/大和田住人 252

定価1200円
〈取り扱い書店〉模索舎:〒160 東京都新宿区新宿2ー4ー9 tel:03-3352-3557 fax:050-3505-8561

2007年5月25日金曜日

『共産主義運動年誌』第二号発刊にあたって

 本年一月、『共産主義運動年誌』編集委員会第二回全体会が東京で行われた。これに向けた「呼びかけ」はつぎのように述べた。

(『共産主義運動年誌』編集委員会第二回全体会・討論会への参加の呼びかけ二〇〇〇・一二・二〇)
『共産主義運動年誌』編集委員会

 共産主義運動の再建と、政治社会変革の活動のために闘うすべての仲間のみなさんに、第二回全体会・討論合宿への参加を呼びかけます。
 『共産主義運動年誌編集委員会』は本年一月、「日本における共産主義運動の主体の再建」と「多様な社会変革運動の前進」に資することを目的とし、共通認識の深化と「理論と実践に関するコミュニケーションの場とする」ことを活動の課題として発足しました。
 結成にいたる討論を集約して、本年四月には『共産主義運動年誌』創刊号を発行し、さらにこれをテーマとする討論会を開催しました。
 幸いにもこうした活動について、今日の日本社会における政治社会運動の低迷情況を打破する試みの一つとして、ささやかではあれ好意的な反響を得ることが出来ました。
 また、東京在住メンバーを中心に定期的に事務局会議を行い、通信を発行して、討論を重ねてきました。この活動の中で、当初以来の「新左翼運動総括」と「国家と市民社会論」を討論テーマに据えることからはじめて論点整理を行い、「①市民運動・社会運動の評価と階級理論、②スターリン主義批判、③危機論と資本主義観、革命観、④今日の資本主義論・恐慌論、⑤政党論、⑥現場からの実践的問題意識を受け止め、コーディネートし、論理化すること、⑦市民社会論、⑧新左翼総括」の八点にまとめてきました。
 これを基礎として、さらに相互理解を深め、討論の進展を図り、もって『年誌』第二号を準備するために下記のとおり『共産主義運動年誌編集委員会』第二回全体会・討論合宿を呼びかけます。多くの仲間の結集と真剣で活発な討論を呼びかけます。
記(以下略)

 全体会では、メイン報告として、高寺良一さんから『現代革命のターニングポイント』、村瀬大観さんから『二〇〇〇年『年誌』論争のポイント』・『新左翼四〇年の光と影』と題してそれぞれの提起を受けた。続いてこれを受けた会員からの意見表明が行われ、討論と意見交換が行われた。

 『年誌』第二号は、こうした私達の討論のありようの現在を反映して編集されている。また創刊号に比して、会員外の寄稿が大幅に増えたことも特筆しておきたい。短い募集期間であったにもかかわらず、多忙を極める中、寄稿に応じてくださった友人の皆さん、寄稿依頼に尽力してくださった会員の仲間の皆さんに感謝のほかない。これらを糧として、「共産主義運動の主体の再建ならびに、多様な社会変革運動の前進に資すること」を目的とし、「理論と実践に関するコミュニケーションの場とする」活動の充実を期して、第二年次の活動を進めたい。引き続き、友人・読者の皆さんの、私達の活動への注目と積極的な参加を呼びかける。

二〇〇一年四月
『共産主義運動年誌』編集委員会事務局

『共産主義運動年誌』第二号(2001年)・目次

『共産主義運動年誌』第二号発行にあたって 4

問題提起〉
現代革命のターニングポイント/高寺良一 6
二〇〇〇年『年誌』論争のポイント 32

〈二〇〇〇年土曜会合宿をめぐって〉
市民社会と〈労働者=市民〉革命/志摩玲介 38
政治革命先行説の検討/伊藤 一[『国際主義』編集会議IEG] 56
二〇〇〇年土曜会夏合宿の感想/村瀬大観 73

〈問題提起に応えて〉
《二一世紀へのメッセージ》社会主義のメタモルフォーゼ/村瀬大観 82
『年誌』論点の二項目への問題意識/津田仙好 85
めざすべき社会、それへの過渡期、変革の主体について/安部治正 90
国家と市民社会についてのスケッチ/流 広志 102
プロレタリアの政治的社会的ヘゲモニーについて/旭凡太郎 110
〈明確になりだした路線の分岐〉/松平直彦 146
共産主義について/羽山太郎 151
来るべき共産主義運動のために―共産主義運動の可能性と不可能性2/畑中文治[共産主義者同盟首都圏委員会] 155

〈運動と理論の深化のために〉
サイバースペース階級闘争論序説/津村 洋[『国際主義』編集会議IEG]
グローバリゼーションとアメリカ労働運動の転換/八木健彦 229
「共産主義運動年誌」の一年と精神医療の状況について/北村 裕 233
「新しい社会運動」と『現在に生きる遊牧民』研究ノート/村瀬大観[共産主義者同盟・プロレタリア戦旗編集委員会] 239

〈寄稿〉
レーニン主義に依拠して党の再武装をめざそう/共産主義者同盟(全国委員会) 278
「共産主義運動年誌」を読んでの感想(一)/北山 峻 290
「マルクスとアソシエーション革命」(田畑 稔著)コメント/千葉正樹 299
ひとりひとりのミクロな協働の意志が社会革命を起動する/清水 貫 306
国際的な左翼の交流・提携、反帝国主義闘争の前進のために/サマン・プリヤンカラ(人民解放戦線JVP(スリランカ)―日本委員会) 312

〈報告〉
アイヌ文化振興法の現在/津田仙好[グループ、“シサムをめざして”(首都圏)] 323
社会主義キューバにおける精神保健事情/北村 裕 330
【表紙設計・府川充男】
定価1500円
〈取り扱い書店〉模索舎:〒160 東京都新宿区新宿2ー4ー9 tel:03-3352-3557 fax:050-3505-8561

2007年5月24日木曜日

『共産主義運動年誌』創刊号(2000年)目次

Ⅰ 共産主義運動年誌編集委員会結成にあたって―活動の目的と進め方・会則 4

Ⅱ 共産主義運動年誌発刊にあたって―共産主義運動年誌編集委員会結成に至る経過についての報告 5

Ⅲ 「『共産主義運動年誌編集委員会結成の呼びかけ』案」をめぐる討論 6

① 資料「共産主義運動年誌編集委員会結成の呼びかけ」案 6
② 「共産主義運動年誌編集委員会結成の呼びかけ」案をめぐる意見と対案 11
〈意見と対案〉旭 凡太郎 11
        安部 正治 41
        北村  祐 44
        高寺 良一 47
        津村  洋(コム・未来&『国際主義』編集会議) 54
        流  広志 62
        羽山 太郎 66
        松平 直彦 71
        村瀬 大観 73
〈寄稿〉   伊藤  一(コム・未来&『国際主義』編集会議) 81

Ⅳ 共産主義運動―ここが問題 121

共産主義運動の一課題―アソシエーション論と国家論の接合― 121
流 広志

『革命の問いとマルクス主義』再読/共産主義運動の可能性と不可能性1 125
畑中文治(共産主義者同盟首都圏委員会)

マルクス主義の現代的発展 154
松平直彦

新左翼四〇年の光と影 157
村瀬大観(共産主義者同盟・プロレタリア戦旗編集委員会)

現代社会主義の党組織観 161
村瀬大観(共産主義者同盟・プロレタリア戦旗編集委員会)

Ⅴ 現場からの活動レポート 181

沖縄―日本、我々の解放のために 181
共産主義者同盟首都圏委員会・「風をよむ」編集委員会

〈寄稿〉 「北方領土の日」廃止! 北方領土をアイヌ民族へ! 194
アイヌ民族の権利回復の声を受け止め、連帯の輪を広げよう! 201
グループ“シサムをめざして”(首都圏)

定価1000円
〈取り扱い書店〉模索舎:〒160 東京都新宿区新宿2ー4ー9 tel:03-3352-3557 fax:050-3505-8561

2007年5月23日水曜日

『共産主義運動年誌編集委員会結成の呼びかけ』案

【1】情勢と主体

1 世界資本主義は恐慌前夜を思わせる時代に入った。

2 世界経済の中心部では多国籍企業資本主義による大規模な資本攻勢がかけられている。

3 世界経済の周辺部では、新自由主義・多国籍企業主導の工業が挫折した。

4 新たにここに組み入れられた旧ソ連・東欧圏においても、ロシアの資本主義化が破綻した。

5 世界経済危機の中で地域的規模で噴出する政治的軍事的対立を押さえ込むために、NATO、日米安保体制など政治軍事同盟の再編強化が日程にのぼせられている。

6 資本の世界的運動と巨大技術による資源収奪は地球的規模での生態系破壊をもたらし、人類の身体と精神に及ぶ危機をもたらしている。

7 いまや破局に近づく帝国主義の世界的支配を打ち破り、これにとって代わるべきプロレタリアートの国際的団結と布陣が要請されている。

8 この今日の資本主義の新しい局面の中で、これに対決する共産主義運動の主体の再建は不可欠の課題である。

9 我々はおおむねマルクス・レーニンの思想と実践を現代に歴史に実現しようとしてきたが、ソ連・東欧の「国家社会主義」体制の崩壊は、その立場についての根本的な再検討と反省を促している。

10 我々はこうした理論と実践にわたる課題の実現を通じた、共産主義運動の主体の再建のために『共産主義運動年誌編集委員会』の結成を呼びかける。

【2】我々の共通認識

 〈資本主義・帝国主義批判〉

1 資本主義社会は、基本的に資本―賃労働関係によって編成されており、それは自由・平等な市民社会と商品の等価交換を形式上のルールにしているが、実際は資本の下への労働者階級の経済的隷属に基づく賃金奴隷制社会である。

2 資本主義に対する批判は、労働の資本の下への形式的・実質的包摂、したがって絶対的・相対的剰余価値の生産に対する批判がその核心的内容である。

3 この核心をつかむことによって、今日の高度に複雑化した社会における技術や労働様式の変革をともなう労働過程、労働力再生産・消費過程、、分配・交換過程にたいするトータルな批判が可能になる。

4 資本の集積と集中は金融独占資本主義を生み出し、さらにその成長は国家独占資本主義をへて、今日の多国籍企業資本主義・国際独占体の形成に至っている。

5 それは非閉鎖的ブロック的市場分割戦の激化と危機の相乗化を促している。また周辺諸国の労働者・農民の底辺化を拡げた。帝国主義では資本と科学技術支配のもと、大規模な労働の階層分化・失業をつくり出した。さらに再生産過程や農村への支配を拡大した。そして今やそれらの大規模な動揺が始まっている。

6 この今日に至る資本主義の危機の克服と延命の歴史は、それ自身の生み出す労働者階級の意識的能動的な階級闘争によってしか廃棄されない事を示している。

7 またその歴史は同時に、階級闘争の意識的能動的主体としての労働者階級が、複雑になった社会の中で、彼ら自身が経済的社会的政治的に階級的に行動し、政治社会変革を領導することによってしか形成されないことも示した。

8 したがって我々の目標は、この多国籍企業資本主義・国際独占体の支配する社会の革命であり、その基礎に立つ帝国主義世界体制そのものの打倒であり、それを自らの事業とする労働者階級の階級形成である。

9 資本―賃労働関係はひとつの権力関係であり、それは論理的にも歴史的にも国家権力と分かちがたく結び付いている。

10 したがってその廃棄は、階級闘争の末に、職場・地域において、社会・経済・政治・文化のそれぞれの領域で、労働者階級が資本家階級の権力を破壊し、自己権力を構成し、国家権力を掌握することなしにはありえない。

11 一つの社会が敵対する二つの階級の戦争状態におかれたとき、労働者階級はその社会の維持と、国家そのものの廃棄・自らの経済的解放のために非常的一時的に革命独裁の権力を発動する。

12 その力量は不断の資本主義批判・帝国主義批判に基づく階級闘争と国家批判、それを通じた世界的一国的な被抑圧被差別人民大衆との団結の経験によって獲得されるほかはない。

13 その領域は、①軍事・外交、国家統合・治安に対する職場・街頭での直接行動と、議会における政治闘争、②被抑圧人民、被差別大衆との地域・農村(再生産過程・労働力再生産過程)における統一の行動、③労働運動などなどである。

14 今日の日本帝国主義国家権力との闘争では、日本国家の解体、反戦・反安保、沖縄人民の自立解放闘争への連帯、などがその政治路線的骨格をなしている。

〈組織活動〉

15 近代国民国家においてはその政治的意志統合を目的とする国民政党は、支持基盤の階級的差異はあっても、事実上は支配的階級を代表する一つの政党に帰着する。

16 マルクス主義的階級政党は階級のありかたの多様さから、先験的には単一化されず、労働者階級が権力に到達したときに、事実上の統一が達成される。それは新たな課題・論争の出発である。

17 だから先験的に単一党を想定するのは必然的にイデオロギッシュな前衛ショーヴィニズムになってしまい、結果として前衛を自称する諸セクトの対立抗争を生み出し、勤労人民の党不信を助長することになる。

18 労働者階級の政治権力の樹立に至る政党の形成は、今日的にはそれzそれの部分性を承認しあった諸分派、党以前の諸政治結社の連合の一時代を想定しなければならない。

19 それぞれの分派・結社の権力闘争と階級形成の実践の蓄積から、連合と統一をへて労働者階級、勤労人民の信頼をかちえる党を形成すること、権威主義的政党・他党派解体路線を否定することからしか現実的な党建設は始まらない。

20 同時にそれぞれの分派・結社における総合的政治組織力量の蓄積と、個々の組織の責任制に踏まえたその枠組みを越えた路線論争、組織的闘争によって共産主義運動の新しい展望を開くことが求められている。

〈共産主義運動の歴史的教訓とイデオロギー活動〉

21 ロシア革命とレーニン主義の遺訓を引き継ごうとする我々が、今日の共産主義運動の再生を果たすためには、ヨーロッパ革命の挫折や、21年分派禁止決議に象徴される限界を突破することが求められる。

22 またもう一つの革命運動における世界史的経験としての中国革命の総括も重要な課題である。とりわけ文化大革命における精神労働と肉体労働の分裂の止揚とコミューン、過渡期における階級闘争の継続などの理念的正当性と、他方での労働の量による分配に資本主義復活の可能性を見いだし走資派規定を行ったことや、機械制大工業の下での管理、分業、規律、経済計算をブルジョア的支配に単純化してしまったことの誤りの正反両面の教訓が問われる。その後の民主化運動における結社の自由、労働組合の権利、自主管理の主張は正当に評価されるべきである。

23 今日のネオ/ポスト・マルクス主義、日本資本主義論争、初期マルクス論争などの新旧の日本マルクス主義、エコロジー派の提起などから、その成果の摂取を行うと共に、積極的な論戦を行うことによって、マルクス主義の再生が目指されなければならない。

一九九九年一〇月二二日

共産主義者同盟首都圏委員会
プロレタリア通信編集委員会

共産主義運動年誌発刊にあたって

 共産主義運動年誌発刊にあたって―共産主義運動年誌編集委員会結成に至る経過についての報告

 「資料」として次に掲載する「『共産主義運動年誌編集委員会の呼びかけ案』」(以下『案』)の原案となった「『共産主義運動年誌(仮称)編集委員会結成の呼びかけ』素案」(以下『素案』)は九九年三月、共産主義者同盟首都圏委員会とプロレタリア通信編集委員会の合意によって作成された。

以後、この一〇年間ほどの研究活動、交流を重ねてきた仲間をはじめとする、志を共にする皆さんに、検討と意見表明をお願いしてきた。その間八月には、関西地方の「土曜会」夏期合宿で提案をさせていただくなどしてきた。

幸い、過分の反響を得ることができたので、一〇月に東京で「『共産主義運動年誌(仮称)』編集委員会結成のための第一回相談会」を開催した。『案』は『素案』に少しの字句修正を加えて、この「第一回相談会」で提案されたものである。

「第一回相談会」では『案』をめぐって活発な意見交換が行われた。その内容についてはおおむね後に掲載した「意見と対案」の項目に反映されているのでそちらを参照されたい。「年誌編集委員会」の結成の可否については、賛成の意見も保留の意見もあったので、「第二回相談会」を設定することとし、それまで継続協議することとした。

「第二回相談会」は本年一月に開催された。『案』の内容については引き続き活発な意見交換が行われた。『案』の【1】、【2】項については「年誌編集委員会」の活動の中で継続討議することとした。「年誌編集委員会」の結成については、『案』の【3】、【4】項に大幅な変更を加え、おおむね共産主義運動の主体の再建、コミュニケーションの場とすることで合意し、その場で「共産主義運動年誌編集委員会」の結成が確認された。本章冒頭の「共産主義運動編集委員会結成にあたって―活動の目的と進め方・会則」がその合意文章である。その後、代表の選出、事務局長の選任、今後の「年誌」発行などの活動方針が確認された。

二〇〇〇年三月三一日

共産主義運動年誌編集委員会事務局

2007年5月22日火曜日

年誌の【活動の目的と進め方】【会則】

 共産主義運動年誌編集委員会結成にあたって―活動の目的と進め方・会則

【活動の目的と進め方】

一 目的は日本における共産主義運動の主体の再建ならびに、多様な社会変革運動の前進に資することである。

二 活動の課題は上記共通認識をさらに深め、理論と実践に関するコミュニケーションの場とすることである。

三 歴史的教訓を集約し理論的実践的討論を深めるために、『共産主義運動年誌』の発行を行う。

四 この活動を進めるために、討論の積極的な保証と公開制が最大限考慮される。

【会則】

一 本会は共産主義運動年誌と称し、その事務所をスペース303に置く。

二 本会の「活動の進め方」および「会則」に賛同し、会の活動に参加し、所定の会費を納める団体個人が本会の構成員である。

三 本会への加入は会の全体による賛成によって承認され、脱退は会への意思表示によって承認される。

四 本会の運営は構成員による合意によって行われる。

五 全体会は出席と委任によって成立する。全体会は原則として年一回行われ、本会の趣旨を討議する。

六 本会は事務局員と代表者を置くことができる。

二〇〇〇年一月八日