2007年5月27日日曜日

『共産主義運動年誌』第七号発刊にあたって

 『共産主義運動年誌』第七号をお届けする運びとなった。日々の活動にお忙しい中、出稿、寄稿してくださった、会員、友人の皆さんには感謝のほかない。本号においては、編集の段階で頁を絞り込んだ。長大な論文が並び、三〇〇頁を超える大部となって、読者の便を損なうとの意見によるものである。その結果として掲載を見送ることになった稿のあったことを、読者の皆さんにご報告し、またあわせて執筆者にお詫びしておきたい。また、発行も当初の計画より若干遅れてしまった。第八回全体会の開催日程や、その準備、総括・整理などの作業がおしてしまったことの結果である。これは、昨年来の『年誌』にかかわる諸活動の拡大と、さらにそのステップアップを目指したことの反映である。
『年誌』第八回全体会は次のような確認を行った。本誌編集にあたってもこの趣旨を実現すべく心がけた。
 『年誌』の総合的力量を強めていくことは、引き続きの課題になる。その際に次のことに留意する。理論的提起にあたって、直面する現実の政治社会的変革の内実を問う。より一層実践性を伴うものとすることをめざす。従来、検討を重ねてきた、政治・社会革命理論、市民社会論、情勢分析、また、労働運動をはじめとする活動の諸分野、そして検討の俎上にのぼせつつある、組織論、社会主義・共産主義論についてもこの観点を明確にすることによって、共産主義運動の再建と発展を望む、より多くの人々に訴える言説の力をつけていきたい。またPTなどでの実践的な相互協力の活動においては、『年誌』の枠組みを越えて、積極的に参加を呼びかけ、『年誌』の活動の充実を図る。わが『年誌』の活動は、着実にその総合的力量を養い、社会的な存在として堅実な基礎を固めて、次の転換と飛躍を探る段階に入っている。今日の社会の階級闘争の様々な分野に参画し、またその経験を理論としてまとめ上げ、蓄積することが重要である。『年誌』関西グループやPTの活動の進展はこれを現実的課題として浮かび上がらせるものとなった。反戦・反帝闘争が求める政治的理論的な見地を、資本主義・帝国主義批判に踏まえて、いっそう鋭いものとし、これら押し寄せる大衆闘争を牽引する共産主義運動の理論的展望を開拓するためにも、『年誌』の活動の実際の基準を広げ、また深める活動が求められる。
 こうした活動のために、「コミュニケーションの場」としての『年誌』の活動性格を尊重しながら共産主義運動の発展を目的とする政治的理論的討論の強化を進める。具体的には以下の二点が課題である。①政治的積極性を強め理論と政治思想の影響力拡大のための現実的基礎の開拓を行うこと。PT活動の定型化、地方グループの組織化などがこれに相当する。また、『年誌』内外で行われてきた種々の論争への理論的評価も試みられなければならない。②『呼びかけ』討論の集約にふまえた『年誌』としての新たな『呼びかけ』作成の作業に着手すること、『年誌』結成以来の討論と、その後の情勢に踏まえて、さらに多くの先進的活動者、とりわけ青年を集団的に迎え入れるための政治思想的内容と『年誌』の活動のあり方の再検討が、『年誌』会員の英知を結集して求められる。『年誌』としての新たな『呼びかけ』作成作業はその内実を提示するものでもなければならない。
 わが国支配階級の改憲、新日米軍事同盟強化の攻勢は、ますます急である。現在開会中の国会情勢も目が離せない。さらに、自民党総裁選をはさんで今秋に予定される臨時国会、来年の参院選、統一地方選などの国内政治過程がことことをいっそう明らかにするだろう。これはまた、激烈に進む資本攻勢=「小泉改革」のポスト・小泉政権における集約過程でもある。これに対してわが国労働者階級人民の、文字通りの階級的総決算を突きつけることが課題となる。経済社会的基礎、地域職場からの、反転攻勢を全力で準備することである。闘う主体の側は決して強いとはいえないが、こけおどしに惑わされず冷静に見つめれば、支配階級の側も万能ではなく、むしろ明確な歴史的指針をもてずに混迷を深めているという実態がわかる。世界的な規模で拡大深化を続ける、労働者階級人民の闘いと固く結びつく階級闘争の国際主義的な路線が、展望を開くかぎである。韓国、沖縄の人民闘争との直接的結合を深め、東西アジア、南北アメリカ、ヨーロッパにおける人民闘争のうねりに合流することを目指さねばならない。
 『年誌』の活動が、この闘いのための、政治的理論的貢献と、コミュニケーションの強化につながることをさらに目指したい。仲間の皆さんと読者のいっそうのご注目とご支持をお願いしたい。
(二〇〇六年五月)