2007年5月27日日曜日

『共産主義運動年誌』第四号発刊にあたって

 『共産主義運動年誌』第四号をお届けする。第三号の発行が昨年の一一月であったから、年刊のペースを三ヶ月間短縮しての発行になる、本年年初以来の反戦闘争の連日の激闘と、資本攻勢に抗して労働者の権利と生活を守るための闘いのなかで、多忙を極めてきたにもかかわらず、変わらぬ友誼と変革の希望を絶やすことなく稿を寄せてくださった仲間と友人のみなさんに深く感謝したい。創刊当初は、毎年四月発刊をめやすとしてきたので、さらに一段の、刊行ペースの取戻しを期したい。
 以下、『年誌』の活動の現状報告をいくつかのポイントに絞って行い、本誌編集の眼目を知っていただくための手がかりを提示することとし、もって第四号発刊にあたっての緒言とする。
 本年二月、私たちは第五回全体会を開催し、活動方針にかかわって、当面する課題を次のように確認した。「共産主義運動の発展を目的とする政治的討論の強化を進めます。帝国主義列強国によるイラク侵略戦争の現実化、朝鮮半島における政治的軍事的危機の切迫化、これに対応した、我が国における有事立法、戦争動員の具体化など、情勢の激動の中で反戦闘争の諸課題が押し寄せています。この状況に対して、共産主義運動がマルクス主義的見地から真剣に取り組み、その本来の役割をはたすことが切実に問われています。この状況に対して、共産主義運動がマルクス主義的共産主義運動の分散状況と政治的思想的混迷にあって、十分にこの役割を果たしていない現実があります。私たちは、積極的な相互討論と強力を強めることによってこの状態を打ち破り、可能な限り積極的に労働者階級被抑圧民族人民の根本的利益の立場からの問題提起と政治思想的展望を示す活動を実行することをめざします。/同時に。私たちは、現在の『年誌』の主体的な力量の部分性や、小ささについての偽りのない自己評価をみすえて、各々の立場から今日の社会の階級闘争の様々な分野に参画し、地道な経験を積み重ね、またそれを理論としてまとめ上げ、『年誌』発足以来の問題意識を堅持しながら、『年誌』発足以来の問題意識を堅持しながら、『年誌』そのものの総合的力量をつけることを目標にします。直面する反戦運動などへの積極的なかかわりの際にも、『年誌』を発展させることが、全員のそれぞれにとって意義深いものとなるような活動を行います。」
紹介した議案の前半部分についての説明は不要だろう。今号においても、今年前半の期間を通じて、心有る人びとが全力を振り絞って取り組んできた、イラクに対する新たな帝国主義侵略戦争に反対するための戦争についての、マルクス主義、共産主義運動の立場からの主張が少なからず盛り込まれている。
議案の後半については、『年誌』そのものの強化と拡大を目標として、全体討論に絶えず、還元することに留意しながら、政治的環境や条件に具体的に対応する具体的な活動を展開することが主旨である。『年誌』に参加する会員が共通に携わり、関心を寄せる活動の諸分野について、意見交換を深め、相互協力を強めるために、プロジェクトチームを形成し、さらにその活動の発展を促すこともその重要なひとつである。また可能性があれば、地方における『年誌』会員グループを形成することも同様に重要な目標である。これらは、ようやく活動の出発点にたったというのが現実であり、種々の試行錯誤を重ねながら、今後、討論と検証を経て豊富化していくべき性格のものである。労働運動については、その一端が、本誌においても反映されている。
最後に、やはり第五回全体会で発足した「理論問題小委員会」の活動と、そのイニシアティブによる「論点整理」についても紹介しておきたい。まず「小委員会」の性格について。「政治的理論的討論そのものは、『年誌』活動の中心的な内実であり、会員の全体で等しく取り組むべき性格であること、したがって、理論問題小委員会が行う活動については、①討論のテーマ、ポイントの整理、②討論のコーディネイトなどに限定する必要がある」(第五回全体会活動方針)。これに踏まえて、「小委員会」は、早速従来の論点の整理の作業を行った。従来の「論点」とは、①市民運動・社会運動の評価と階級理論、②スターリン主義批判、③危機論と資本主義観、革命観、④今日の資本主義論・恐慌論、⑤政党論、⑥現場からの実践的問題意識を受け止め、コーディネイトし、論理化すること、⑦市民社会論、⑧新左翼総括の八項目であった。検討の結果、次の七項目への再整理を図ることが報告された。
(1)現代帝国主義(民族問題)、グローバリズム、国際マネー体制、危機論・・旧③④
(2)政治革命と社会革命論、アソシエーション社会主義、市民社会論、革命戦略・・旧①⑦含む
(3)プロ独、社会主義論、国際共産主義運動総括を含む・・旧②含む
(4)ブントなどの総括を含む政党論・組織論・・旧⑤含む
(5)賃金奴隷制と国家・市民社会
(6)スターリン主義批判と新左翼総括・・旧②⑧
(7)現実からの実践的問題意識を受け止め、コーディネイトし、論理化すること・・旧⑥
 これらの項目整理と、それぞれについての内容的な検討は、次の全体会に至る活動の中で行われることになる。今号でも、こうした問題関心の反映は見て取っていただけると思う。
当今では「批判の武器」という類いの言い回しはあまり目にしなくなった。しかし、吹き荒れる資本攻勢と、帝国主義侵略戦争にもっとも強い抵抗の立場を提示することはますます切実な勤労被搾取人民の要求である。これを正面から受け止め、最新の思想と理論、政治社会変革の最強の意志によって、『年誌』をこのための「批判の武器」を鍛える、熱気ある意見交換の場とすることが私たちの願いである。本誌発行が、その役割をはたすことができるのであれば、慶びこれに過ぎたるはない。二〇〇三年八月『共産主義運動年誌』編集員会事務局